衛星データと地理情報システムを用いた高精度な水田圃場図の作成法


[要約] [キーワード] [担当]上川農試・研究部・栽培環境科、中央農試・生産システム部・水田農業科
[連絡先]電話0166-85-2200
[区分]北海道農業・総合研究
[分類]技術・参考



[背景・ねらい] [成果の内容・特徴]
  1. 衛星データを用いて水田を判別するための条件と衛星データを利用した水田圃場図の作成法
    (1)衛星観測時期は、移植後〜幼穂形成期(5月下旬〜6月下旬)頃がデータ取得機会も安定して高く、水田の判別に好適である。
    (2)湛水された水田は中間赤外波長の反射が、裸地(豆類)や植生(秋播小麦)に比べ特徴的に低いことから、水田判別には中間赤外波長を用いることが必要である。
    (3)衛星データの解像度が高いほど、水田の判別精度は向上する。
    (4)衛星データから作成した水田圃場図は、圃場レベルでの水田把握には限界があるが、市町村レベルで水田の地理的分布を把握するデータとして有効である(図2)。
  2. 衛星データとGISを組み合わせた水田圃場図の作成法
    (1)衛星データから作成した土地被覆分類画像にGISの圃場区画図を重ね、圃場区画に含まれる最も多い分類クラスをその圃場の代表クラスとしてGIS属性に登録する、Majority処理を行うことによって、圃場区画ごとの土地被覆分類を特定することができる(図1)。
    (2)SPOT5号(10m)のデータを用いて作成した水田圃場図は解析地域内の全水田面積の99.9%を水田と判別し、転換畑作付図と一致した圃場は面積率で99.6%と高い精度をもっていた。これよりも解像度が低いSPOT4号(20m)のデータを使用した場合は、転換畑作付図と一致した圃場は面積率で95.2%とやや精度が低下した。LANDSAT7号(30m)では2割程度の誤判別圃場が生じた(表1図3)。
    (3)水田圃場が誤判別された事例について目視判読を行うと、多様な土地被覆の混在やビニールハウスなど農業資材の影響、検証に用いた作付図の記載違いなどが原因と推定された。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本試験成果は圃場図や作付け状況のGISデータを作成、保有している市町村などの行政機関やJAおよび土地改良区等の団体で活用できる。
  2. GISを導入していない場合でも、衛星データから作成した水田圃場図は市町村レベルで水田の地理的分布を把握するデータとして有効である。
  3. 誤判別された圃場については現地確認を行う。
[具体的データ] [その他]
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