種馬鈴しょ生産における茎葉チョッパと生育調節剤による茎葉処理技術
[要約]
チョッパ処理後5日以内にピラフルフェンエチル乳剤を散布する茎葉処理技術は、確実な枯凋促進と茎葉再生抑制の点から最も有効である。「男爵薯」、「メークイン」では、自走式チョッパはチョッパ単用でも茎葉再生が認められず、種馬鈴しょ生産への利用が可能である。
[キーワード]
種馬鈴しょ生産、茎葉チョッパ、ピラフルフェンエチル乳剤、茎葉再生
[担当]十勝農試・生産研究部・栽培システム科
[連絡先]電話0155-62-2431
[区分]北海道農業・総合研究
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
健全な種馬鈴しょ生産のためには、速やかにかつ効果的に茎葉処理を行い、茎葉の再生を防ぐことが重要である。現在指導されているピラフルフェンエチル乳剤は即効性に劣ることから、機械処理との組み合わせによる効果的な茎葉処理法が求められている。そこで、茎葉チョッパとピラフルフェンエチル乳剤との組み合わせによる、処理残り程度および茎葉再生の少ない茎葉処理法の検討を行う。
[成果の内容・特徴]
- 茎葉繁茂期におけるチョッパ単用の刈り高さ設定2cmでは、処理重率が95%以上と高く(図1)、葉の処理残りがない。刈り高さ設定9cmでは、倒伏程度が大きいほど処理重率が低くなり、各品種とも葉の処理残りがある。チョッパ処理により、既往の成果同様、塊茎の露出や損傷が増える傾向がある。茎葉の再生が起こる場合、チョッパ処理5日後以降に再生が始まり、処理2週後以降では新たな再生は認められない。
- チョッパ処理後5日以内にピラフルフェンエチル乳剤を散布する茎葉処理法が、確実な枯凋促進と茎葉再生抑制の点から最も有効である(図2)。ピラフルフェンエチル乳剤の薬量250〜450ml/10aの範囲では、処理2週後の葉付き茎率や再生茎率の差はほとんどない。
- 「男爵薯」および「メークイン」では、刈り高さを低く設定できる自走式チョッパは再生が認められず、種馬鈴しょ生産への利用が可能である(図1)。トラクタ直装式チョッパでも、刈り高さ設定を低くすると処理重率が高くなり、茎葉の再生が少なくなる。
- (1)チョッパ処理時の倒伏が多いとき、(2)チョッパ処理直後の葉の処理残りが多く、処理株率が低いとき、(3)「ホッカイコガネ」など再生しやすい品種のチョッパ処理後では、再生の懸念が大きいので、マニュアルに沿った茎葉処理を行う(表2)。
- 生育調節剤処理後のチョッパ処理では、再生茎率が数パーセント生じる場合があり、効果が不安定となる。
[成果の活用面・留意点]
- 種馬鈴しょ生産における茎葉処理時に茎葉チョッパを使用する場合に活用できる。
- 「種馬鈴しょ生産管理基準」を遵守する。
- トラクタ直装式チョッパを使用する場合、ロークロップタイヤを装着し、処理重率が高く茎葉の再生を抑え、塊茎の露出や損傷を防ぐことのできる刈り高さに設定する。
平成16年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「種馬鈴しょ生産における茎葉チョッパと生育調節剤による茎葉処理技術」(普及推進)
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:種馬鈴しょの茎葉処理方法に関する試験、種馬鈴しょ生産のための茎葉処理機械利用技術の確立
予算区分:受託
研究期間:2003〜2004年
研究担当者:大波正寿、鈴木 剛、稲野一郎、前野眞司、白井和栄
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