籾殻を利用したてん菜軽量育苗培土の利活用法
[要約]
粉砕籾殻を60〜70%の体積割合で混合した軽量育苗培土の紙筒重量は、慣行育苗培土より3割程度軽い。移植苗の地上部生育は慣行と同等かやや小さいものの、収穫期の収量はほぼ同等である。軽量育苗培土では、育苗中のかん水回数を多くするとともに液肥処理を追加することにより、苗質が向上する。機械移植作業における障害は認められない。
[キーワード]
[担当]十勝農試・生産研究部・栽培システム科
[連絡先]電話0155-62-2431
[区分]北海道農業・総合研究
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
てん菜紙筒移植栽培において、育苗培土充填後の紙筒の重さは1冊あたり40〜50kgに達し、土つめや苗ずらし、移植時の苗運搬といった作業は生産者の大きな負担となっている。そこで、育苗培土の軽量化を図るため、粉砕した籾殻を用いた軽量育苗培土を供試し、苗質やほ場での生産性、育苗管理および機械移植適性を検討する。
[成果の内容・特徴]
- 紙筒重量軽減程度、苗質、移植後の生育および収量性から、軽量育苗培土の粉砕籾殻混合割合は体積割合で60〜70%が適する。軽量育苗培土の紙筒重量は標準土より3割程度軽い。
- 軽量育苗培土の出芽率は、標準土と比べて同等かやや低い。移植苗の地上部生育は同等かやや小さく(図1)、根重はかなり多い(図2)。移植後の地上部生育は標準土とほぼ同等で、収穫期の糖量は標準土とほぼ同等である(図3)。
- 軽量育苗培土の苗質向上のためには、育苗期間中のかん水間隔を短くし(表1)、紙筒表面が乾燥したらこまめにかん水を行うことが必要である。また、液肥処理を播種2〜3週後(本葉抽出始〜本葉展開期)に行うことが苗の生育安定化に役立つ(表2、3)。
- 軽量育苗培土の機械移植作業時の土抜け程度や植付け姿勢は標準土と同等である。しかし軽量育苗培土では、紙筒露出高さ30mmの極端な浅植えにより欠株や活着不良株が増加する(表4)。
[成果の活用面・留意点]
- 育苗培土の軽量化により、てん菜育苗作業および移植作業の軽労化に貢献できる。
- かん水および液肥処理に留意し、それ以外は規格1号紙筒の育苗管理基準を遵守する。
平成16年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「籾殻を利用したてん菜育苗培土の軽量化と実用性」(普及推進)
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:てん菜育苗苗の軽量化
予算区分:受託
研究期間:2001〜2004年
研究担当者:大波正寿、有田敬俊、稲野一郎、鈴木 剛、前野眞司、桃野 寛、白井和栄
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