QTL解析により同定されたダイズ耐冷性に関する遺伝子座


[要約] [キーワード] [担当]北海道農研・地域基盤研究部・冷害生理研究室
連絡先]電話011-857-9312
[区分]北海道農業・基盤、作物・生物工学
[分類]科学・参考



[背景・ねらい] [成果の内容・特徴]
  1. 開花日まで22℃/17℃、開花日以降成熟まで、低温区15℃/15℃、常温区24℃/17℃に置くことで、開花・成熟期の早晩性に関係なく、系統の持つ潜在的な生殖成長期の耐冷性を評価できる。
  2. 104のF6:7のRILsについて、179のSSRマーカーと2つの形態形質(T:毛茸色、W1:花色)、2つのSNPsによりジェノタイピングすると、23連鎖群からなる約1800cMの連鎖地図が構築される。
  3. 1の耐冷性検定法および2の連鎖地図を利用し、個体あたり種子重の耐冷性(常温区に対する低温区の割合)に関するQTL解析を行うと、2つのゲノム領域(連鎖群C2とL)で有意なQTLが検出される(図1)。
  4. 連鎖群C2に座乗するQTLは、個体あたり種子数の耐冷性と一粒重の耐冷性双方に関与し、連鎖群Lに座乗するQTLは個体あたり莢数(同時に種子数)の耐冷性に関与する(図1)。これらは、開花期・成熟期の早晩性を支配する熟性遺伝子座に近接する(図1)。
  5. 連鎖群Iに位置する熟性遺伝子座の近傍には、単独では耐冷性に関する有意なQTLは存在しないが、連鎖群Lの耐冷性遺伝子座と高い相互作用を示す領域があり、連鎖群C2の遺伝子座も併せて、3つの熟性遺伝子座すべての周辺領域が「ハヤヒカリ」型になった場合に、耐冷性が最も強くなる(図2)。
[成果の活用面・留意点]
  1. ダイズ耐冷性品種育成のための交配親・選抜法選定の情報となる。
  2. RILおよび耐冷性QTL近接マーカーは、耐冷性育種素材の作出に利用できる。
  3. 圃場において、熟性遺伝子が「ハヤヒカリ」型のものは、「トヨムスメ」型のものより、若干熟期が晩生になる。
[具体的データ] [その他]
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