春まき小麦「春よ恋」の初冬まき栽培法


[要約] [キーワード] [担当]中央農試・技術普及部・技術体系化チーム、ホクレン農業総合研究所
[連絡先]電話0123-89-2001
[区分]北海道農業・作物
[分類]技術・普及



[背景・ねらい] [成果の活用面・留意点]
  1. 積雪下でも土壌の表層が軽く凍結する地域で「春よ恋」を初冬まきで栽培すると、「ハルユタカ」に比べて越冬性が劣り、初冬まき栽培で必要最低限の越冬個体数(150個体/m2)を下回る場合がある(表1)。
  2. 「春よ恋」の初冬まき栽培における倒伏限界の窒素吸収量は、春まき栽培よりやや少ない13kgN/10aである(図1)。このため、「ハルユタカ」の初冬まき栽培で可能であった窒素の増肥・分施体系(融雪直後9~10kgN/10a+止葉期6kgN/10a)を「春よ恋」に適用すると、著しく倒伏することがある(図2)。
  3. これらのことから、「春よ恋」は「ハルユタカ」に比べて初冬まき栽培適性が低い。
  4. 「春よ恋」の初冬まき栽培に当たっては、以下の点を遵守する。
    (1)積雪が少なく土壌の表層が軽く凍結することが多い南空知の南部や石狩南部などでの栽培を避ける。
    (2)越冬数の確保および倒伏軽減のため、覆土ができる条件で播種を行う。
    (3)窒素施肥は、春まき栽培の標準量を融雪直後と出穂期以降に分施する体系とする。すなわち、融雪直後に春まき栽培の標準量より3kgN/10a少ない量を施肥し、開花期以降に尿素葉面散布(2%尿素100L/10aを1週間おきに3回、窒素量で3kgN/10a)、または出穂期に3kgN/10aの追肥を行う。ただし、泥炭土では分施を行わず、春まき栽培の窒素施用に準ずる量を融雪直後に施用する。
  5. リン酸施肥時期と生育・収量の関係および初冬まき栽培における生産物の内部品質に関して、試験の範囲内では従来の知見と異なる点はみられない。
  6. 以上の成績を加味した「春まき小麦の初冬まき栽培体系」をまとめた。(抜粋を表2に示す)
[成果の活用面と留意点]
  1. 春まき小麦「春よ恋」を初冬まき栽培する場合に適用する。
  2. 本成績は、石狩・空知地域における成績である。
[具体的データ] [その他]
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