低温着色に強く機械収穫向きの大粒だいず新品種「十育237号」
[要約]
「トヨムスメ」と同じ中生の白目大粒系統で、低温抵抗性が強いうえ、臍および臍周辺着色粒の発生がなく外観品質の低下が少ない。倒伏抵抗性が強く、主茎型で最下着莢節位高が高いので、コンバイン収穫適性が高い。外観品質が優れ、煮豆、味噌、納豆に適する。
[キーワード]
ダイズ、大粒、臍および臍周辺着色抵抗性、低温抵抗性、コンバイン収穫適性、煮豆、味噌、納豆
[担当]北海道立十勝農試・作物研究部・大豆科
[連絡先]電話0155-62-2431
[区分]作物・夏畑作物、北海道農業・作物
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
北海道の大豆栽培のうち、中生の白目大粒品種として「トヨムスメ」が作付されている。「トヨムスメ」は、煮豆・惣菜、味噌原料として、また、本州産大豆と比べ物性面で劣るものの美味しさを活かした豆腐原料として利用され、実需者からも高い評価を得ている。しかし、低温抵抗性が不十分であるため収量が不安定で、低温による臍および臍周辺着色粒が発生しやすい。また、分枝が多く裂莢しやすいため、コンバインで収穫しづらい。
このため、低温抵抗性が強く、低温による臍および臍周辺着色粒が発生せず、コンバイン収穫適性が高い品種が強く求められている。
[成果の活用面・留意点]
- 平成5年に十勝農試で「十系793号」を母、「十交6225F8」を父として人工交配を行い、それ以降、選抜、固定進めて育成した系統である。
- 臍および臍周辺着色抵抗性が強い白目大粒で、外観品質に優れる(表1,2)。
- 低温抵抗性が「トヨホマレ」より強い(表1)。
- 密植適性およびコンバイン収穫適性が高い(表3,1)。
- 煮豆、味噌および納豆に適する(表1)。
- 「トヨムスメ」より豆腐の物性がやや劣る(表1)。
- 農試および現地試験で「トヨムスメ」と同程度の収量性であるが、高温年の収量が「トヨムスメ」よりやや劣る。
[成果の活用面・留意点]
- 十勝中央部および道央地域の「トヨムスメ」、「トヨホマレ」の一部に置き換えて普及する。
- ダイズわい化病抵抗性は“中”なので、適切な防除に努める。
- ダイズシストセンチュウ・レース1発生圃場への作付けは避ける。
- 収量およびコンバイン収穫適性の向上のため、密植栽培を励行する。
平成16年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「だいず新品種候補「十育237号」」(普及奨励事項)
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:大豆新品種育成試験
予算区分:指定試験
研究期間:2004年度(1993〜2004年)
研究担当者:白井滋久、湯本節三、松川勲、田中義則、萩原誠司、黒崎英樹、角田征仁、山崎敬之、鈴木千賀、大西志全
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