早生、耐冷性で落葉病抵抗性のあずき新品種「十育147号」
[要約]
:「十育147号」の成熟期は、「エリモショウズ」や「きたのおとめ」より早い“早の晩”で、落葉病・茎疫病(レース1)・萎凋病に対して抵抗性である。開花期頃の低温に対する抵抗性は“やや強”で「エリモショウズ」より強い。倒伏抵抗性は「サホロショウズ」と同じ“強”で、「エリモショウズ」、「きたのおとめ」より強い。
[キーワード]
アズキ、低温抵抗性、落葉病抵抗性、萎凋病抵抗性、倒伏抵抗性
[担当]十勝農試・作物研究部・小豆菜豆科
[連絡先]電話0155-62-9825
[区分]作物・夏畑作物、北海道農業・作物
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
道東の早生、中生種栽培地帯(小豆栽培地帯区分T−1、II−1)では、一部で早生品種の「サホロショウズ」が栽培されているが、主に中生の「エリモショウズ」、「きたのおとめ」が栽培されている。これは、「サホロショウズ」の収量性、耐冷性がこれら中生品種に比べて劣り、土壌病害抵抗性もないためである。このように、早生品種を栽培すべき地帯で中生品種を栽培していることが、冷害年における小豆の成熟を一層遅らせ、減収を拡大する要因となっている。このため、特に、道東では早生で耐冷性を持ち、良質で多収な耐病性品種が強く要望されている。
[成果の内容・特徴]
- あずき「十育147号」は、早生、良質、落葉病・茎疫病・萎凋病抵抗性の「十育137号」を母、多収、落葉病・茎疫病・萎凋病抵抗性の「十育138号」を父として、人工交配を行った後代から育成した系統である。
- 育成地での成熟期は、「サホロショウズ」より2日遅いが、「きたのおとめ」よりは6日、「エリモショウズ」より5日早い(表1)。
- 「きたのおとめ」より、主茎長は短く、倒伏程度は小さい(表1)。
- 「きたのおとめ」より莢数はやや少なく、一莢内粒数及び子実重は同程度である(表1)。
- 百粒重は「きたのおとめ」より重く、種皮色は「きたのおとめ」と同じ淡赤である(表1)。
- 加工適性は「きたのおとめ」、「エリモショウズ」と同等以上である(表3)。
- 落葉病、茎疫病、萎凋病抵抗性はいずれも「強」である(表2)。
- 開花期頃の低温抵抗性は「エリモショウズ」より強い(表1、2)。
[成果の活用面・留意点]
- 本系統は、北海道の道東の早生種栽培地帯(T−1)及び道東の早生・中生種栽培地帯(II−1)、及びこれに準ずる地帯に普及する。
- 落葉病、茎疫病(レース1)、萎凋病に抵抗性を持つが、栽培に当たっては適正な輪作を守る。
- 茎疫病発生圃場では、優占するレースにより多発する場合がある。
- 開花前の低温により短茎化した場合、機械収穫を行うと収穫損失が大きくなる可能性がある。
- 早生であるが、夏期温暖な条件下では中生品種より成熟期が遅くなる場合がある。
平成16年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名及び区分
「小豆新品種候補「十育147号」」(普及奨励事項)
[具体的データ]
[その他]研究課題名:小豆育種試験
予算区分 :指定試験
研究期間 :1995〜2004年度
研究担当者:島田尚典、青山 聡、長谷川尚輝、藤田正平、村田吉平、松川 勲
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