早生・白肉でサラダ適性のあるばれいしょ新品種「北育1号」
[要約]
ばれいしょ「北育1号」は、早生・白肉の生食用系統である。ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を持つ。収量性は「男爵薯」よりも高い。内部異常が少なく、調理品質に優れておりサラダ等の業務加工適性もある。機械収穫における打撲にも強い。
[キーワード]
ジャガイモ、ジャガイモシストセンチュウ、早生、白肉、サラダ適性
[担当]北見農試・作物研究部・馬鈴しょ科
[連絡先]電話0157-47-2146
[区分]北海道農業・作物、作物・夏畑作物
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
近年、ばれいしょの重要病害虫であるジャガイモシストセンチュウの発生が拡大しており、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性品種の必要性が改めてクローズアップされているが、生食用ばれいしょの主力品種である「男爵薯」は抵抗性を持たない。「キタアカリ」、「とうや」等既存の早生、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性品種は黄肉で汎用性に乏しく、またサラダ用を主体として作付けを増している白肉の「さやか」は中生のため、秋まき小麦の前作とするにはやや難点を持っている。各生産地からは「男爵薯」に置き換わる早生、白肉で汎用性の高いジャガイモシストセンチュウ抵抗性品種が望まれている。
[成果の活用面・留意点]
- 「北育1号」は高品質多収で白肉の生食用品種「PentlandDell」を母、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性遺伝子H1を2重にもつ早生の生食用品種「とうや」を父として人工交配し、選抜された系統である。
- ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を持つ(表1)。
- 早生・白肉で「男爵薯」より収量が多い(表2)。
- 「男爵薯」より中心空洞、打撲黒変の発生が少ない(表3)。
- 調理品質が優れサラダ適性がある(表4、5)。
- 上いも平均一個重がやや小さい(表2)。
[成果の活用面・留意点]
- 北海道の生食用ばれいしょ栽培地帯に普及する。
- メトリブジン系の除草剤を植え付け後に散布すると、薬害を生じる場合がある。
- 疫病抵抗性であるが、抵抗性を侵す新レース出現の可能性があるため「男爵薯」に準じた防除を行う必要がある。
- 「男爵薯」より塊茎の維管束褐変が生じやすい傾向にあるので、乾燥しやすい圃場で栽培する場合は注意する。
平成16年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「ばれいしょ新品種候補「北育1号」」(普及奨励)
[具体的データ]
[その他]
課題名:ばれいしょ新品種育成試験
予算区分:指定試験
研究期間:1991〜2004年度
研究担当者:入谷正樹、伊藤武、村上紀夫、松永浩、千田圭一、関口建二、大波正寿、池谷聡、藤田涼平、土屋俊雄、兼平修
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