中玉トマトの品種特性と房どり収穫
[要約]
中玉トマトは、大玉トマトに比べて生育が早く、生理障害果の発生が少ない。収穫時間は、ミニトマトに比べると半分以下である。中玉トマトの房どり収穫は個どり収穫に比べて2割程度減収するが、収穫作業が省力的で生育、果実品質は同等である。
[キーワード]
[担当]道立花・野菜技セ・研究部・野菜科、園芸環境科
[連絡先]電話0125-28-2800
[区分]北海道農業・作物
[分類]技術・参考
[背景・ねらい]
北海道における中玉トマトの試験事例は極めて少なく、導入を進めるにあたっての情報が不足している。中玉トマトと大玉トマト、ミニトマトを比較検討し、中玉トマトの一般的な特性を把握するとともに、省力性に優れた房どり収穫および房どり適性の高い中玉トマト品種の情報を提供する。
[成果の活用面・留意点]
- 中玉トマトの「ファンゴッホ」(個どり収穫)は、大玉トマトの「桃太郎8」に比べて生育が早く、ミニトマトの「キャロル7」と同程度からやや早い傾向である(表1)。良果収量は「桃太郎8」、「キャロル7」に比べ多い(表1)。内部品質は「キャロル7」よりも劣るが、「桃太郎8」と同程度からやや優る(表1)。収穫時間は、「キャロル7」と比べると半分以下であるが、「桃太郎8」と比べると2倍以上である(表2)。
- 「ファンゴッホ」の房どり収穫は個どり収穫に比べて生育の早さは同程度で、生育後半の草勢は良好である(表1)。房どり収穫では、熟度の進んだ果実が収穫されるため、内部品質は優る傾向にある(表1)。良果収量は、個どり収穫の8割程度であるが、「桃太郎8」、「キャロル7」の良果収量より多い(表1)。収穫時間は、個どり収穫の3分の1以下で済み、調製時間を加えても個どり収穫の50〜70%程度である(表2)。
- 中玉トマトの導入にあたって、多収を求めるなら個どり収穫、省力化を求めるなら房どり収穫+個どり調製、差別化を図るなら房どり収穫+房調製(つる付き販売)が適する(図1)。
- 「ファンゴッホ」は、1果重が50〜60gで良果収量は「桃太郎8」よりも多い。供試中玉品種間では房どり適性は高く、食味、日持ち性が良い(表3)。
- 「ヘーシンク」は1果重が70〜80gで良果収量は「桃太郎8」よりも多い。「ファンゴッホ」に比べ日持ち性は優れるが食味がやや劣る(表3)。
- 「レンブラント」は1果重が40g前後で房どり適性、食味、日持ち性は「ファンゴッホ」よりやや劣る(表3)。
- 「ラブリー40」は1果重が40g前後で良果収量は「桃太郎8」よりも少ない。房どり適性、食味、日持ち性は「ファンゴッホ」と同程度である(表3)。
[成果の活用面・留意点]
- 新たに中玉トマトを導入しようとする産地や直売グループ等で活用できる。
- 本試験は半促成長期どり作型、大玉トマトに準じた栽培法で行った。
平成16年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名
「中玉トマトの品種特性と房どり収穫法」 指導参考
[具体的データ]
[その他]研究課題名:中玉トマトの高品質・省力栽培のための品種特性解明
予算区分:道費
研究期間:2002〜2004年度
研究担当者:大久保進一、長尾明宣
発表論文等:大久保・長尾・八木(2003)北海道園芸研究談話会報36:34-35
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