青色で芳香性を有するアリウム新品種「札幌1号」、「札幌2号」
[要約]
種間交雑により育成した「アリウム札幌1号」、「アリウム札幌2号」は、それぞれ濃青色、淡青色の花色で、ともにバニラエッセンスに似た甘い香りを有する。小球開花性があり、球根の増殖も容易である。
[キーワード]
[担当]北海道農研・作物開発部・花き育種研究室
[連絡先]電話 011-857-9304
[区分]北海道農業・作物、花き
[分類]技術・参考
[背景・ねらい]
アリウム類は新規花きとして切り花需要が増加しているが、いずれも野生種からの選抜系であるため、種による花色の片寄りや芳香がないなどの問題があり、種間交雑による新形質の付与が要望されている。そこで、小球開花性や芳香性に優れた遺伝資源を選抜し、それらを供試して新しいタイプの品種の育成を図る。
[成果の内容・特徴]
- ジーンバンク事業海外遺伝資源探索においてカザフスタン国の山岳地帯で収集した淡青色の野生種カエシウム(Alliumcaesium)を子房親とし、切り花用に栽培されている濃青花の野生種カエルレウム(A.caeruleum)を花粉親として1999年6月に種間交雑行い、 胚珠培養により得られた53個体の雑種から、花色や香り等に優れた2系統を最終選抜し、「アリウム札幌1号」、「アリウム札幌2号」を付した。
- 「アリウム札幌1号」、「アリウム札幌2号」の花色はそれぞれ濃青色、淡青色で、両親に比べ、花数が500〜700個と多く、花房径も大型である(表1、図1、図2)。花粉親のカエルレウムでしばしば見られるヤグラ等奇形花の発生は2品種とも見られない。
- 2品種ともバニラエッセンスに似た甘い香りを有する。
- 札幌における開花期は6月中旬である。「アリウム札幌1号」は「アリウム札幌2号」より2〜3日開花が早い。茎長は70〜100cmと長く、茎が太いため耐倒伏性に優れる。
- 切り花の水上げは良く、切り花にした後も蕾がほとんど開花するため、2週間以上の観賞期間がある。
- 0.5gといった非常に小さな球根でも開花し、2g以上球で切り花品質は高まる。また仔球を10〜20個形成し、1作で開花球になるため、球根の増殖も容易である。
[成果の活用面・留意点]
- 切り花用、花壇用のいずれにも利用できる。
- 耐寒性を有し、北海道での露地栽培が可能である。
- 暖地での栽培適性については未検討である。
- 種苗登録申請を行い、民間種苗会社への許諾により普及を図る。
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:小球開花性、芳香性アリウム類の新育種素材・品種の開発
課 題ID:04-03-03-(01)-04-04
予算区分:超省力園芸(交付金プロ)
研究期間:1997〜2004年度
研究担当者:篠田浩一、村田奈芳
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