越冬性に優れたオーチャードグラスのロシア遺伝資源の特性と育種への利用


[要約] [キーワード] [担当]北海道農研・作物開発部・イネ科牧草育種研究室
[連絡先]電話 011-857-9273
[区分]北海道農業・作物、畜産草地
[分類]科学・参考



[背景・ねらい] [成果の活用面・留意点]
  1. オーチャードグラスのロシア遺伝資源は、標準品種「ワセミドリ」より耐凍性に優れ、耐雪性(雪腐黒色小粒菌核病抵抗性)は並である。ロシア遺伝資源を利用して育成した「北海28号」などの系統は、「ワセミドリ」より耐凍性と耐雪性が優れ、ロシア遺伝資源と同程度かやや優れる(図1)。越冬性は、ロシア遺伝資源や「ワセミドリ」より優れる。
  2. ロシア品種(「Morshanskaya」)と「北海28号」は、秋季の休眠が「ワセミドリ」より約1ヶ月早い(図2)。いずれも、秋季の生育は「ワセミドリ」より劣る。
  3. ロシア品種(「Morshanskaya」)と「北海28号」の越冬前のフルクタン含量は、「ワセミドリ」より多いが、越冬性に劣る「Ambassador」と同程度である(図3)。
  4. ロシア品種と「北海28号」は、越冬後の糖の残存量が多く、萌芽が良好である()。「Ambassador」は、越冬後の糖の残存量が少なく萌芽が不良であり、春の萌芽の良否には越冬後の糖含量が関与している。
[成果の活用面・留意点]
  1. ロシア遺伝資源の利用により、越冬後の糖含量の増加が期待できるので、越冬性の改良に有効である。
  2. ロシア遺伝資源およびこれを利用した系統は、秋季は早く休眠するので夏以降の生育が劣り、収量性が低い。ロシア遺伝資源を利用する場合は、他の素材と交配し選抜を繰り返す必要がある。
[具体的データ] [その他]
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