サイレージ用トウモロコシ一代雑種の新親自殖系統「Ho68」
[要約]
サイレージ用トウモロコシの親自殖系統「Ho68」(エイチオーロクジュウハチ)は、“中生の晩”のデント種で、耐倒伏性、すす紋病抵抗性および採種性に優れ、組合せ能力が高く、一代雑種品種の親系統として利用できる。
[キーワード]
トウモロコシ、自殖系統、中生、デント、耐倒伏性、採種性、飼料作物育種
[担当]北海道農研・作物開発部・トウモロコシ育種研究室
[連絡先]電話011-857-9317
[区分]北海道農業・作物、畜産草地
[分類]科学・普及
[背景・ねらい]
わが国の栽培環境への適応性の高いトウモロコシの優良F1品種を育成するためには、優秀な親自殖系統の育成が不可欠である。デント種自殖系統はF1品種の種子親として利用されることが多く、耐病性や耐倒伏性などの一般特性に優れていることに加え、採種性の高さが求められる。そこで、これらの条件を満たす中生のデント種優良自殖系統を育成しようとした。
[成果の内容・特徴]
- 「DK403」を母材とし、病害抵抗性、耐倒伏性、雌穂特性などについての選抜と自殖により育成した自殖系統である。
- 早晩性は北海道では“中生の晩”に属する(表1)。
- 初期生育は“良”、稈長は長く、着雌穂高はやや高い。稈径は平均的である。雌穂は先端円錐型で粒列数は平均13.0列、子実は橙色でやや丸形である(表1)。
- すす紋病抵抗性は“やや強”、ごま葉枯病抵抗性は“弱”、黒穂病抵抗性は“やや弱”で、耐倒伏性は“強”である(表2)。
- 採種性は、実収量で53.6kg/aと極めて高い。花粉飛散程度は“良”である(表1)。
- 組合せ能力は高い。本系統を片親とする単交雑F1系統「北交64号」は、普及品種と比較して、耐倒伏性に優れ、多収である(表3)。
[成果の活用面・留意点]
- サイレージ用トウモロコシF1品種の親系統として利用できる。
- 黒穂病抵抗性はやや弱いので、単交雑F1育成時の交配相手には本病抵抗性の強い系統を用いる。
[具体的データ]
[その他]研究課題名:トウモロコシ優良交配親自殖系統の育成
課題ID:04-03-04-*-12-04
予算区分:交付金
研究期間:1989〜2004年度
研究担当者:濃沼圭一、三浦康男、佐藤尚、三木一嘉、榎宏征、重盛勲、高宮泰宏
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