サイレージ用トウモロコシ一代雑種の新親自殖系統「Ho87」
[要約]
サイレージ用トウモロコシの親自殖系統「Ho87」(エイチオーハチジュウナナ)は、極早生のフリント種で、耐倒伏性と採種性に優れ、組合せ能力が高く、一代雑種品種の親系統として利用できる。
[キーワード]
トウモロコシ、自殖系統、極早生、フリント、耐倒伏性、採種性、飼料作物育種
[担当]北海道農研・作物開発部・トウモロコシ育種研究室
[連絡先]電話011-857-9317
[区分]北海道農業・作物、畜産草地
[分類]科学・普及
[背景・ねらい]
わが国の栽培環境への適応性の高いトウモロコシの優良F1品種を育成するためには、優秀な親自殖系統の育成が不可欠である。とくに、道東地域に適する早生F1品種の育成に利用できる極早生〜早生の耐倒伏性自殖系統の育成が急務となっていた。そこで、耐倒伏性に優れるフリント種の極早生自殖系統を育成しようとした。
[成果の内容・特徴]
- 「アストリッド」を母材とし、耐倒伏性、雌穂特性などについての選抜と自殖により育成した自殖系統である。
- 早晩性は“極早生”に属する(表1)。
- 初期生育は“良”、稈長および着雌穂高は低く、稈径は細い(表1)。雌穂は円錐型で粒列数は平均11.0列、子実は橙色で丸形である。
- すす紋病抵抗性は“弱”、ごま葉枯病抵抗性は“やや強”、黒穂病抵抗性は“強”で、耐倒伏性は“極強”である(表2)。
- 採種性は、実収量で41.0kg/aと同熟期の自殖系統としては極めて高い。花粉飛散程度は“良”である(表1)。
- 組合せ能力は高い。本系統を片親とする単交雑F1系統「北交62号」は、すす紋病抵抗性が強く、多収で乾雌穂重割合が高い(表3)。
[成果の活用面・留意点]
- サイレージ用トウモロコシF1品種の親系統として利用できる。
- すす紋病抵抗性は“弱”なので、単交雑F1育成時の交配相手には本病抵抗性の強い系統を用いる。
[具体的データ]
[その他]研究課題名:トウモロコシ優良交配親自殖系統の育成
課題ID:04-03-04-*-12-04
予算区分:交付金
研究期間:1990〜2004年度
研究担当者:濃沼圭一、三浦康男、佐藤尚、三木一嘉、榎宏征、重盛勲、高宮泰宏
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