高泌乳牛の卵巣機能回復と発情回帰および受胎性


[要約] [キーワード] [担当]北海道農研・畜産草地部・家畜生理繁殖研究室
[連絡先]電話011-857-9268
[区分]北海道農業・畜産草地、畜産草地
[分類]科学・参考



[背景・ねらい] [成果の活用面・留意点]
  1. 対象牛50頭(初産26頭、経産24頭)の、平均305日乳量(±標準偏差)は9,265±1,984kgで、乳量を除き、初産と経産との間に大きな差はない。平均初回排卵、発情および授精日は、30.9±17.1、55.2±21.4および71.5±18.1日であり、分娩後180日の時点で5頭(10%)が不受胎であり、受胎牛の平均空胎期間は89.6日である。
  2. 分娩後2回目までの排卵の45%は1ウェーブで起こり(最初の主席卵胞が排卵)、初回排卵前の牛の20%では5回以上のウェーブの繰り返しや卵胞嚢腫の発生が見られる。卵巣周期は、3回目の排卵までにほぼ正常に回復する(図1)。
  3. 初回発情は2回目の排卵時に最も多く観察され(48%)、ついで3回目の排卵時(36%)に多い。6%の牛では分娩後3回の排卵とも無発情である。(図2
  4. 初回授精前の卵巣周期が3ウェーブ(3番目の主席卵胞が排卵)の場合、2ウェーブの場合と比べて受胎率が高い傾向にある(P=0.07)(図3)。2ウェーブでは、卵子が老化しすいと推測される。
  5. 授精猶予期間を45日とした場合、初回発情時の人工授精では、それ以降の発情よりも受胎率が高い(P<0.05)(図4)。
  6. 分娩後2回目の排卵までは42%が無発情であり、初回発情で受胎率が高いことから、乳牛の繁殖性改善には、より確実な発情発見と早期の授精が重要である。
[成果の活用面・留意点]
  1. 現代の高泌乳牛の受胎性改善について検討する際の、前提条件あるいは参考データとして活用できる。
[具体的データ] [その他]
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