全きょうだい牛およびクローン牛を用いた黒毛和種種雄牛の検定法


[要約] [キーワード] [担当]道立畜試・家畜生産部・育種科、畜産工学部・受精卵移植科、遺伝子工学科
[連絡先]電話01566-4-5321
[区分]北海道農業・畜産草地
[分類]技術・参考



[背景・ねらい] [成果の活用面・留意点]
  1. 全きょうだい牛の肥育成績と候補牛の推定育種価の相関係数が、中程度以上の値(脂肪交雑:0.49)であったことから、全きょうだい牛の肥育成績を用いることにより、従来の直接検定のみの一時選抜に比べ、より正確に候補牛の能力を推定できる(図1)。
  2. 全きょうだい牛の生産率が50%であること、1頭の供卵牛からの年間採卵可能数が20個程度であることから、1組当たり候補牛1頭と調査牛4頭の生産が可能である。
  3. 同じ組内の受精卵クローン牛間で、脂肪交雑の相似性が高い(表1)ことから、検定に受精卵クローン牛を用いることで、脂肪交雑の推定精度は向上する。
  4. 受精卵クローン牛の生産率が22%であったこと、1個の受精卵から15個のクローン胚が確保できることから、一卵性由来のクローン牛数は3頭生産可能であり、これらの生産に必要な移植頭数は14頭と考えられる。
  5. 2分離胚からの子牛の生産率は30%で、一卵性双子が生産される確率は9%となるため、必要な移植頭数は22頭であり、これにより一卵性双子1組と全きょうだい牛4頭が生産される。(図2)。
  6. 受精卵クローン検定は、遺伝改良量が最も高く移植頭数も少ないが、現状では候補牛を登録できない。また、2分離胚+受精卵クローン検定はリクローン技術が必要であり、現状では技術的に困難である。これに対し、「2分離胚+全きょうだい検定」(図2)は、作出する候補牛が登録可能で、技術的にほぼ確立されており、全きょうだい検定に比べ期待される遺伝的改良量が高い(表2)。
  7. 以上の結果から、黒毛和種種雄牛の産肉能力を推定する一次選抜のシステムとしては、現状に おいて、「2分離胚+全きょうだい検定」が最も適していると考えられる。
[成果の活用面・留意点]
  1. 黒毛和種種雄牛造成の計画策定に活用できる。
[具体的データ] [その他]
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