イモ皮主体サイレージおよびとうもろこしサイレージを活用した乳用種去勢牛の肥育技術
[要約]
乳用種去勢牛に対して、イモ皮主体サイレージまたはとうもろこしサイレージを濃厚飼料TDNの20%代替して給与する肥育方法は、道内の一般的な濃厚飼料を多給する肥育と同等の牛肉生産が可能であり、飼料費も節減できる。
[キーワード]
イモ皮主体サイレージ、とうもろこしサイレージ、乳用種去勢牛、肥育、飼料費の節減
[担当]道立畜試・家畜生産部・肉牛飼養科、育種科、畜産工学部・代謝生理科、帯広畜産大学
[連絡先]電話:01566−4−5321
[区分]北海道農業・畜産草地
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
食品製造副産物であるジャガイモ皮、イモカット残渣を肥育用飼料として有効に活用するため、これらに乾燥澱粉粕、規格外雑豆、規格外小麦などを混合した発酵飼料(以下、イモ皮主体サイレージと略す)を調製し、飼料としての評価を行うとともに、肥育牛に対する利用性を明らかにする。また、濃厚飼料を節減した低コスト生産を目的として、とうもろこしサイレージ給与と産肉性との関連についても検討し、道内で一般的な濃厚飼料を多給する肥育と同等の肥育成績が得られる給与水準を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- イモ皮主体サイレージの乾物、粗蛋白質およびTDN含量はそれぞれ40.2%、4.4%および68.5%である(表1)。
- イモ皮主体サイレージの給与によりルーメン内容液の総VFA濃度およびA/P比が高くなる傾向にあるが(図1)、pHの値はイモ皮主体サイレージを給与飼料の乾物比50%まで増加させてもに大きな変化がない。
- イモ皮主体サイレージの給与は、糞尿中への窒素排出率を低下させ、窒素蓄積率を有意に高める(表2)。また、エネルギー出納では、熱発生量は高くなるが、蓄積エネルギー量には差がなく、イモ皮主体サイレージは濃厚飼料の一部代替として利用できる(表3)。
- イモ皮主体サイレージを濃厚飼料TDNの30%代替給与すると増体が劣り枝肉量が小さい。20%代替給与では濃厚飼料を多給する肥育(対照区)と変わらない肥育成績が得られ(表4)、 この場合、1頭当たりの飼料費は約5,000円節減できる。
- とうもろこしサイレージは、濃厚飼料TDNの20%代替給与であれば、濃厚飼料を多給する肥育(対照区)と同程度の増体および枝肉成績が得られる。しかし、代替割合を30%に増加 させると、肉色(BCS)値が高くなり、肉色が濃いと判定される個体が多い(表5)。従って、 とうもろこしサイレージは濃厚飼料TDNの20%給与とするのが適当で、この方法で肥育すると1頭当たりの飼料費が約13,000円節減できる。
[成果の活用面と留意点]
- 道内で一般的な濃厚飼料を多給する乳用種去勢牛の肥育において活用できる。
- 乳用種去勢牛の肥育では飼養密度が高いので、設定量を採食できるように注意する。
平成16年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「イモ皮主体サイレージおよびとうもろこしサイレージを活用した乳用種去勢牛の肥育技術」(普及推進)
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:道産稲ワラ等を活用した肉牛の低コスト飼養技術の開発
予算区分:重点領域特別研究
研究期間:2001〜2003年度
研究担当者:佐藤幸信、杉本昌仁、大井幹記、斉藤早春、斉藤利朗、左久(帯畜大)
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