乳牛の集団哺育施設および育成牛用飼槽の設計ガイドライン
[要約]
自動哺乳装置利用の集団哺育では哺乳期牛群施設、離乳期牛群施設とともに防疫上受け入れ後1日から1週間程度収容する単飼飼養施設が必要である。哺育施設では冬期間の日射の活用、暑熱期の換気に留意する。6ヶ月齢以上の育成牛の飼槽壁の高さは50cmでも採食可能である。
[キーワード]
[担当]根釧農業試験場・研究部・酪農施設科
[連絡先]電話01537-2-2004
[区分]北海道農業・畜産草地
[分類]技術・参考
[背景・ねらい]
これまでの哺乳期の飼養施設はカーフハッチによる個別飼養が基本とされてきたが、預託牧場において自動哺乳装置の導入による集団哺育が試みられている。そこで、この集団哺育施設の計画時の留意点を明らかにするとともに、乳牛の体格を規準とした哺乳・育成牛用の飼槽形状及び寸法を明らかにする。
[成果の活用面・留意点]
- 預託牧場における集団哺育に必要な施設として(1)哺乳期牛群施設(自動哺乳装置利用)、(2)離乳期牛群施設のほか、健康状態確認と防疫上の理由から受け入れ後1日から1週間程度収容する(3)単飼飼養施設があげられる。
- 集団哺育施設における寒冷対策としては赤外線ヒーター、ビニール・コンパネ等の開閉式覆いや囲いの設置、カーテン閉鎖、断熱、日射利用がみられることから、集団哺育施設では冬季間の日射を有効に利用できる施設構造とし、日中は舎内温度を上げて換気を促進するとともに、夜間は赤外線ヒータとビニール等の開閉式覆いを設置して保温に留意する。また、暑熱対策ではカーテン・吊り戸の開放、送風機、遮光施設の利用がみられることから、夏季間は壁面をできるだけ開放するとともに、日射による暑熱を防ぐ遮光構造とする(表1)。
- 哺育牛舎の飼槽は、2〜4ヶ月齢までは現地実態調査により箱形飼槽を40〜45cmの高さに設置して利用する。また、4ヶ月齢以上の育成牛の飼槽壁の高さは育成牛の膝高よりも高く胸骨高以下として各月齢の飼槽寸法を設定し、模擬飼槽での採食可能範囲の計測と採食姿勢の調査により検討したところ、採食通路からの飼槽面の高さが15cm、飼槽壁厚が15cmで上方を傾斜させた飼槽形状の場合には、4〜6ヶ月齢未満では飼槽壁高さ45cm、6ヶ月齢以上であれば飼槽壁高さ50cmとし、飼槽柵は飼槽壁内側から約20cm前方に出し、最大高さの目安を体高の平均値の85%程度として設置する(表2、図1)。
[成果の活用面・留意点]
- 飼槽設計資料作成に用いた数値は根釧農試の育成牛のみの計測値であるため、実際の設計時には収容される牛群の体格を計測して対応する。
- 飼槽柵(ネックレール)は溶接等によって固定せず、高さ・位置が調節できる可動式とする。
平成16年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「乳牛の集団哺育施設および育成牛用飼槽設計のガイドライン」(指導参考)
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:子牛の哺育育成部門専門分化による初産分娩までの育成期間短縮をめざした地域預託システムの確立
予算区分:国費補助(地域基幹)
研究期間:2002〜2004年度
研究担当者:高橋圭二、堂腰 顕、上田和夫
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