乳牛における活動量の変化検出による発情発見システム


[要約] [キーワード] [担当]根釧農試・研究部・乳牛繁殖科、酪農施設科、酪農大・酪農学部、(株)土谷特殊農機
[連絡先]電話01537-2-2042
[区分]北海道農業・畜産草地
[分類]技術・普及



[背景・ねらい] [成果の内容・特徴]
  1. 活動量を頻回収集し、積算表示したところ、発情期には活動量増加の傾きが急激に増大した(図1)。活動量の増加開始とマウンティングはほぼ同時刻に開始し、スタンディングは活動量の増加から約3時間後に認められる(図2)。また、スタンディングの持続時間は2〜18時間で、平均7.3時間と短い。
  2. 排卵は活動量増加開始から28.5時間後に起こる。従って、理論的な授精適期は、活動量増加開始から4〜24時間となる(図2)。
  3. リピートブリーダーを除く乳牛について、活動量増加開始から授精までの時間を調査したところ、適期と考えられた活動量増加開始から4〜24時間の受胎率は65.4%であり、それ以外の時間に授精された場合の15.8%に比べ高い(図3)。また、適期のうちでも、早い時期に授精した場合の受胎率が高い。
  4. 本システムは、活動量の頻回収集と発情判定解析プログラムから構成される(図4)。発情判定解析プログラムは、平常時の活動量との比較により、自動的に発情の検出、発情開始時刻の特定を行う。発情と判定された場合には、授精適期も表示して管理者へ知らせる。
  5. 発情の判定基準は、アンテナ設置数が3台の場合には、100回の通過データの平均値と比較して、直前10回の通過データの平均値が2倍以上となった場合に行動注意、2.5倍以上で発情と判定する。
  6. 本システムの発情検出率は91.4%、発情発見精度は83.5%と良好である(表1)。
    以上のことから、本研究で開発した「活動量の頻回収集による発情発見システム」は、フリーストール牛舎における発情発見率と受胎率を向上させることができる。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本システムの解析手法は、平常時の活動量として100〜200回の平均値を用いる。平均値算出まで2週間程度必要なため、分娩後から計測装置を装着する必要がある。
  2. アンテナ数は牛舎内の横断通路分でよいが、餌槽側に牛床がある場合(頭あわせの2列牛床など)には、飲水器周辺にもアンテナを設置する必要がある。
  3. 発情判定基準の倍率は、アンテナ設置数や牛群・個体により変更が必要な場合がある。
  4. 本システムの発情検出率は高く、提示した授精適期での受胎率も高いが、発情と判定した牛の中には、実際には発情でない牛も含まれるため、目視による発情行動や外陰部・粘液の観察を併用することが望ましい。
[具体的データ] [その他]
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