BSE疑似患畜の経過観察と脳内接種法の確立


[要約] [キーワード] [担当]道立畜試・畜産工学部・遺伝子工学科、感染予防科、代謝生理科
[連絡先]電話01566-4-5321
[区分]北海道農業・畜産草地
[分類]科学・参考>



[背景・ねらい] [成果の活用面・留意点]
  1. 道内のBSE発生農場2戸から疑似患畜18頭を導入した。導入した疑似患畜は、飼養期間中、BSE発症を疑う異常な臨床症状は示さない。また、死亡あるいは鑑定殺を行った16頭は、ELISA法による延髄のBSE検査で陰性である。
  2. 血液および血清生化学分析は概ね正常な値で推移する。二次元電気泳動による血漿中蛋白質の解析は観察途中から出現するスポットが存在する。また、中枢神経細胞損傷の指標となる脳脊髄液S-100B蛋白質濃度においては一時的な変化を示す個体があったが(図1)、概ね安定して推移し、中枢神経障害を疑う所見はみられない。
  3. 子牛の頭部の縦断および横断標本を用いて、穿刺部位を決定した。子牛4頭に対し、決定した部位をピンドリルにより開頭し(図2)、カテラン針を用いて着色正常脳乳剤1mlを接種した結果、脳乳剤は脳脊髄液中に拡散し、BSE病変好発部位である脳幹部周囲にも分布する(図3)。今回確立した方法について、プロトコルを提示する(表1)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 子牛への脳内接種によるBSE感染実験は、動物バイオセーフティ基準(ABSL)2を必要とする。
  2. BSE感染脳乳剤の調整にはABSL3実験室、感染実験に用いた動物の飼養にはABSL1施設を必要とする。
[具体的データ] [その他]
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