簡易更新による草地へのイネ科牧草導入法


[要約] [キーワード]  [担当] [連絡先] [区分]北海道農業・畜産草地、畜産草地
[分類]技術・普及



[背景・ねらい] [成果の内容・特徴]
  1. 採草地(火山性土)におけるチモシー(TY)の導入の施工効果は、草地全面を浅く処理して播種床とする表層攪拌法の方が、草地を浅く溝を切る作溝法や条状に耕耘する部分耕耘法または多くの孔を開けていく穿孔法より大きい(表1)。翌年1番草のTY割合を50%にしたい場合、表層攪拌法では、既存の地下茎型イネ科草割合がおよそ40〜50%以上、作溝法では30%程度以上でグリホサート系除草剤の使用が必要になる(図1,図2)。グリホサート系除草剤を併用した場合は、いずれの工法でも施工効果は安定・向上する。
  2. 既存の地下茎型イネ科草割合が少ない場合でも、ギシギシ類が繁茂しマメ科牧草が優占した草地や裸地部分で作溝法等によるTY導入が効果的な事例があり、TY導入のための施工法選択フローが提案できる(図3)。
  3. 採草地(台地土)への簡易更新によるペレニアルライグラス(PR)の導入では、グリホサート系除草剤を併用した表層攪拌法を用いると施工効果が高い。
  4. 地下茎型イネ科草優占放牧地の植生を改善する場合、集約的に放牧を続けながら、メドウフェスク(MF)やPR等の初期生育の早い牧草を作溝法で追播することで、1年半〜2年後に、2〜3割程度のMFまたはPR割合が期待できる(図4,図5)。
[成果の活用面と留意点]
  1. 本成績は土壌の化学性が「北海道施肥ガイド」の草地維持または更新の基準値の範囲であることが前提で、施工前に土壌診断を行い基準値の範囲に矯正する必要がある。
  2. 除草剤を用いる場合は「農作物病害虫・雑草防除ガイド」に従い、グリホサート系除草剤を使用する際には、必要十分な薬量と枯殺期間を確保する。
  3. 追播するイネ科牧草の播種量は各地域の完全更新時の標準的な播種量と同程度とする。
[具体的データ] [その他]
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