メロンえそ斑点病の発生実態と防除対策
[要約]
えそ斑点病の発生は本道8支庁27市町村で認められる。抵抗性台木利用は最も防除効果が高い。灌水太陽熱消毒の防除効果は高く、10cm地下で39℃・170時間以上で防除価95を期待できる
[キーワード]
[担当]道立花・野菜技セ・研究部・病虫科
[連絡先]電話0125-28-2800
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
土壌伝染病であるメロンえそ斑点病に対し、臭化メチル剤の全廃に伴なう新たな防除対策が強く要望されている。そのため、耕種的・物理的な防除対策に取り組み、抵抗性台木や灌水太陽熱消毒による防除効果とその利用法を明らかにする。
[成果の活用面・留意点]
- 本病の発生は北海道の8支庁27市町村で認められている(図1)。
- メロンを連作すると翌年も発生し、連作が第一の発生要因である。抑制作型のみでメロンを栽培後、翌年に半促成栽培を行っても発病は見られる。とうもろこしとの輪作で発病が認められない事例がある。土壌pHが低いと発病が少ない傾向である。
- 台木の「どうだい3号」、「にげあし1号」、「T-188」、「AM191」は本病の発病を全く認めないため実用的な抵抗性台木である(表1、2)。また、「空知台交4号」も発病を認めず、実用性が十分期待できる。台木利用で発病がなかったハウスで翌年自根栽培を行なうと発病する。発病の多い実とり品種は「パブリレッド」、「いちひめ」、「ビューレッド」および「妃(春秋系)」である。
- 灌水太陽熱消毒は本病に対して高い防除効果が認められる(表3)が、夏季の高温が認められない年では防除効果が不安定である。しかし、灌水太陽熱消毒の持続効果は1作しか期待できない。
- 灌水太陽熱消毒は土壌中のOlpidium菌の密度を低下させる。湿熱条件は乾熱条件に比べOlpidium菌の死滅量が多い。40℃を継続してもOlpidium菌を完全に死滅させることは困難である。
- 灌水太陽熱消毒による土壌温度と防除価との相関は10cm下で39℃以上の累積時間(r=0.866)で最も高い。防除価95以上が期待できる条件は10cm下で39℃以上、170時間(95%信頼区間で136〜209時間)以上である。
[成果の活用面・留意点]
- 抵抗性台木は予め産地の栽培状況および台木特性を十分把握して導入する。
- 台木の抵抗性は穂木に移行せず、接ぎ木後の穂木胚軸の切り忘れ、接ぎ木不良や深植えによる穂木不定根の発生に注意が必要である。
平成16年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
メロンえそ斑点病の発生実態と防除対策(普及推進)
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:メロンえそ斑点病の総合防除対策
予算区分:道単
研究期間:2000〜2004年度
研究担当者:堀田治邦、八木亮治、平井 剛
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