イネ縞葉枯病抵抗性品種「St.No.1」におけるStvb-i領域のゲノム構造
[要約]
イネ縞葉枯病抵抗性品種「St.No.1」の抵抗性遺伝子Stvb-i領域には、感受性日本型イネ品種「日本晴」に比べ、約10kbのトランスポゾンの挿入と6.5kbから10kbへの置換がある。
[キーワード]
[担当]北海道農研・生産環境部・ウイルス病研究室
[連絡先]電話011-87-9278
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]科学・参考
[背景・ねらい]
インド型イネ品種「Modan」に由来するイネ縞葉枯病抵抗性遺伝子Stvb-iは、感受性日本型イネ品種に導入されて30年以上の安定した抵抗性を発現している。その高度に安定した抵抗性機構の解明を目指してStvb-i遺伝子の単離およびその効率的な遺伝子の利用に資するために、抵抗性品種「St.No.1」における本遺伝子領域のゲノム構造を明らかにする。
[成果の活用面・留意点]
- インド型イネ品種「Modan」に由来するイネ縞葉枯病抵抗性遺伝子Stvb-iは、イネ第11染色体長腕動原体近傍に座乗し、DNAマーカーG220−G257間にあって、感受性日本型イネ品種「日本晴」における遺伝子領域は約30kbと算出される(図1-A)。
- 「Modan」に由来する抵抗性品種「St.No.1」における遺伝子領域は約44kbと算出される(図1-B)。
- 「日本晴」の塩基配列と比較した場合、「St.No.1」においてはCACTA型トランスポゾン10.9kbの挿入がある。(図-B)。
- トランスポゾンの挿入位置に続く動原体側約10.1kb断片は、「日本晴」の6.5kb断片と置換している(図-B)。
- その他にも数塩基単位の変異(置換・挿入・欠失)が点在する(図-B)。
- 当領域には8つの遺伝子が予測される(図-C)。
- イネ縞葉枯病抵抗性選抜マーカーST10は、当該遺伝子領域内のトランスポゾンに近接している。
[成果の活用・留意点]
- 予測される8つの遺伝子の機能については詳細な検討が必要。
- 「Modan」に由来する抵抗性系統の選抜においてST10の選抜効率はほぼ100%である。
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:イネ縞葉枯病抵抗性遺伝子の単離
課題ID:04-06-01-*-08-03
予算区分:委託プロ(ミュータントパネル)
研究期間:2001〜2003年度
研究担当者:早野由里子、齋藤浩二、杉浦直樹(愛知農総試)、井澤敏彦(愛知農総試)、眞岡哲夫、福本文良
発表論文等:
1)早野由里子(2002)北海道農業研究センター報告175:1-45.
2)早野由里子他(2002)育種学研究4(別2):107
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