農耕地土壌の化学性を指標とした作物のカドミウム汚染リスク評価


[要約] [キーワード] [担当]中央農試・農業環境部・環境保全科
[連絡先]電話0123-89-2001
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]技術・参考



[背景・ねらい] [成果の活用面・留意点]
  1. コムギおよびダイズ子実、ホウレンソウの生育量およびCd濃度は土壌の種類や施肥処理によって大きく変動する。土壌の化学性に関連する項目のうち、いずれの作物Cd濃度とも高い正の相関関係を認めるのはY1、逆に高い負の相関関係を認めるのはpH(KCl)、T-NおよびT-Cである。
  2. 土壌の0.1N-HCl抽出Cd濃度と作物Cd濃度の相関係数は低く、土壌Cd濃度だけを指標にCd汚染リスクを評価するのは困難である(図1)。
  3. コムギおよびダイズ子実、ホウレンソウのCd濃度を目的変数、土壌の化学性を説明変数とした重回帰分析により、pH(KCl)、T-C(%)および0.1N-HCl抽出Cd(mg/kg)の3つの分析値を用いた重回帰式log(作物Cd)=a+b・pH(KCl)+c・log(T-C)+d・log(Cd)が得られる(表1)。
  4. 道内で収集した土壌と作物のデータセットを用い、各作物のCd濃度推定式を検証すると、いずれの作物も概ね適合し、リスク区分を3段階〔高:≧0.2mg/kg,0.2>中≧0.1,0.1>低〕とした場合、正しく判別された割合はコムギ89%、ダイズ76%、ホウレンソウ94%と高く、作物のCd汚染リスクを評価するうえで有効と考えられる(図2)。ただし、水田転換後年数の浅い低地土におけるダイズ子実Cd濃度は推定値を大きく上回る。
  5. 重回帰式により得られる作物Cd濃度から、作物のCd汚染リスクが推定でき、基準値を同じにすると、同一の土壌条件でも作物の種類によってリスクが異なり、ダイズ>ホウレンソウ>コムギの順に高い(表2)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 水田転換後2年以内の低地土で栽培されたダイズでは、重回帰式によって得られた推定値を2倍して補正する。
[具体的データ] [その他]
目次へ戻る