転換畑での大豆生産を阻害する土壌物理性とその改善指標


[要約] [キーワード] [担当]中央農試・農業環境部・環境基盤科
[連絡先]電話0123-89-2582
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]技術・普及



[背景・ねらい] [成果の活用面・留意点]
  1. 大豆の出芽率を低下させ苗立ち本数の確保を阻害する土壌物理条件は、クラスト硬度10mm以上(4kgバネ使用)、砕土率80%未満、平均土塊径では1.5cm以上である(図1)。
  2. 土壌クラストは国際法粘土+シルト含量50%以上(農学会法粘土含量40%以上)の場合に生じやすいが、国際法粘土+シルト含量50%以上においても強熱減量13%以上、全炭素量6%以上であるとクラスト硬度は全て10mm以下となる。また腐植含量の多い土壌ほど塑性限界が高くなり、砕土可能な水分領域が広がる。これらのことから苗立ち本数の確保のためには、粗大有機物を含めた土壌中の有機物含量を高めることが必要である。
  3. 耕盤層の存在により乾物重などの生育量や根粒重、窒素吸収量が減少し、大豆の生育を阻害する(表1)。またシリンダーインテークレート法によるIbが100mm/h未満のほ場では、個体あたりの子実重低下により収量は300kg/10a未満となる(図2)。これらのことから、苗立ち以降の大豆生育を阻害する土壌物理条件は、耕盤層の存在、およびシリンダーインテークレート法によるIbが100mm/h未満、である。
  4. 現地ほ場の土壌断面形態および土壌物理性のデータによる解析の結果、Ibは孔隙や亀裂などの土壌構造の発達程度による影響を強く受けることから、苗立ち以降の大豆生育を低下させる要因は、土壌構造が未発達で亀裂や孔隙の少ない土壌環境である。
  5. 以上をふまえ、シリンダーインテークレート法を転換大豆畑における土壌物理性の評価手法とし、望ましい土壌物理性改善指標値および改善策を示す(表2)。
[成果の活用面・留意点]
  1. シリンダーインテークレート法の測定については前作収穫後(秋起こし前)あるいは春耕起前に行い、降雨直後は避ける。
[具体的データ] [その他]
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