露地野菜畑・草地におけるヒトデ混和たい肥の施用効果および施用量
[要約]
ヒトデ混和たい肥の施用効果は一般的なたい肥とほぼ同等であり、施用量は露地野菜畑で年間1t/10aを上限とし、草地更新時では6t/10aとする。
[キーワード]
[担当]道南農試・研究部・園芸環境科、天北農試・研究部・草地環境科
[連絡先]電話0138-77-8116
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]技術・参考
[背景・ねらい]
ヒトデは北海道沿岸で大量に混獲・駆除され、その有効利用が望まれている。本課題ではヒトデを混和したたい肥(牛糞およびカラマツチップ等の木質系資材に、生ヒトデを20%混和したもの。以下、ヒトデたい肥)の露地野菜や牧草に対する施用効果を明らかにし、施用量を検討する。
[成果の活用面・留意点]
- ヒトデたい肥の成分は窒素含有量が牛糞たい肥とほぼ同等で、マグネシウムを除く塩基が牛糞たい肥より有意に高く、カドミウム含有量が対照の3種類のたい肥よりも高い(表1)。ヒトデたい肥の窒素無機化量は対照たい肥と同程度である。
- ダイコンのヒトデ1t/10a施用区、2t/10a施用区では、牛糞2t/10a施用区とほぼ同等の収量が得られる(表2)。
- 2年間の連用では可食部のカドミウム含有量の処理間差は認められず、CODEX基準値案(ダイコンで0.1mg/kg、キャベツで0.05mg/kg)を下回る(表3)。たい肥2年連用後の栽培跡地土壌のカドミウム含有量(0.1MHCl抽出)には処理間差が認められないが、ヒトデたい肥のカドミウム含有量が高いことから、露地野菜畑におけるヒトデたい肥の施用量は年間1t/10aを上限とする。
- 草地更新時にヒトデ混和たい肥を6t/10a施用すると、対照たい肥と同等の肥効を持ち、カドミウムの蓄積も認められないことから(表4)、草地更新時には従来の基準値(6t/10a)の施用で良いと考えられる。
[成果の活用面・留意点]
- ヒトデ混和たい肥は牛糞およびカラマツチップ等の木質系資材に生ヒトデを20%混和したものである。
- 本試験はダイコン、キャベツおよび草地更新時のチモシー単播草地に対して行った。
- ヒトデ混和たい肥施用の際には、定期的に土壌分析を行い、0.1MHCl抽出カドミウム含有量が上昇した際には施用を中止する。
- ヒトデ混和たい肥施用に伴う化学肥料の減肥量は、一般的なたい肥と同様に北海道施肥ガイドに従う。
平成16年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「露地野菜畑・草地におけるヒトデ混和たい肥の施用効果および施用量」(指導参考)
[具体的データ]
[その他]研究課題名:ヒトデたい肥化実証試験(漁業系廃棄物リサイクル推進事業)
(2)ヒトデ混和たい肥の野菜畑に対する施用効果、ヒトデ混和たい肥の草地に対する施用効果
予算区分:道費
研究期間:2003〜2004年度
研究担当者:細淵幸雄、林哲央、乙部裕一
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