ホウレンソウ・コマツナの夕どりによる硝酸塩低減
[要約]
収穫を朝どりから夕どりにすることにより、新鮮生重量当たりの硝酸イオン濃度は、こまつなで平均11.0%、ほうれんそうで平均14.9%低下する。
[キーワード]
[担当]道立花・野菜技セ・研究部・園芸環境科、野菜科
[連絡先]電話0125-28-2800
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
消費者の健康意識の高まりもあって、農産物の機能性が注目されると共に、野菜中の硝酸塩に対する関心が高まっている。硝酸は作物体に吸収された後、硝酸還元化酵素によって還元されてアミノ酸やタンパク質に合成されるが、硝酸還元化酵素は光によって活性化するため、硝酸イオン濃度の低下は日照条件に強く影響されることが予想される。そこで、収穫を現行の朝どりから夕どりに変更することによる硝酸イオン濃度の低下を検討する。
[成果の活用面・留意点]
- 収穫を朝どりから夕どりに変更すると、硝酸イオン濃度がほとんどの作期で低下し、その程度はコマツナで平均11.0%、ホウレンソウで平均14.9%である(表1)。
- 葉身部における硝酸イオン濃度低下はコマツナ36〜53%、ホウレンソウ25〜57%であり、株全体よりも大きい(表2)。
- 補光条件が夕どりによる硝酸イオン濃度低下に与える影響は小さい。一方、遮光条件では、硝酸イオン濃度レベルが高まるとともに、夕どりによる硝酸イオン濃度の低減効果が小さくなる(図1)。
- 収穫を夕どりにすると、ビタミンC、糖濃度が増加し、内部品質が向上する(表3)。
[成果の活用面・留意点]
- 雨よけ・ハウス栽培を対照とする。
- 夕どりの効果を低減させないため収穫日の遮光はさける。
- 夕刻は品温が高いため、できるだけ早く予冷し、しおれが発生する場合は水浸漬処理等を行う必要がある。
平成16年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「ほうれんそう・こまつなの夕どりによる硝酸塩低減」(普及推進)
[具体的データ]
[その他]研究課題名:夕どり収穫方法を活用したホウレンソウ等の硝酸塩濃度低減化
予算区分:受託(国費)
研究期間:2002〜2004年度
研究担当者:藤倉潤治、杉山 裕
発表論文等:
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