養液土耕栽培によるホウレンソウの硝酸低減化


[要約] [キーワード] [担当]北海道農研・生産環境部・養分動態研究室
[連絡先]電話011-857-9243
[区分]北海道農業・生産環境、共通基盤・土壌肥料
[分類]技術・参考



[背景・ねらい] [成果の活用面・留意点]
  1. ホウレンソウの窒素吸収量は、生育初期では極めて小さいが、播種後23日目頃から急速に高まる。養液土耕において播種後15日目まで1日あたり0.15gN/u、それ以降に0.25gN/uと設定した合計8gN/u区では、ホウレンソウの窒素吸収量は施用量に近い値になる(表1図1)。
  2. 窒素を8g/m2施用することにより、収量は低下することなく、硝酸イオン含有率の低いホウレンソウが得られる。全量基肥の8g/m2施用によっても同様の効果が得られたが、養液土耕でさらに硝酸イオン含有率が低下する傾向がある(図2)。
  3. 養液土耕は全量基肥よりシュウ酸含有率を低め、また、硝酸低下と連動して糖含有率を上昇させる傾向がある(表2)。
  4. 葉柄汁液の硝酸イオン濃度は、作物体の硝酸イオン含有率との間に高い正の相関関係が認められ、硝酸イオン含有率3000mg/kgFWに相当する汁液硝酸イオン濃度は約6000mg/Lである。養液土耕において、葉柄汁液の硝酸イオン濃度は播種後23日頃には処理に関係なく高いが、その後、窒素施用量8g/m2以下の処理で低下する。(図3)。
  5. 以上より、窒素合計8g/m2施用の養液土耕栽培では、汁液硝酸イオン濃度が徐々に低下する最適なパターンで推移し、収量を落とすことなく硝酸イオン含有率の低い良質の収穫物が得られる。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本成果は春夏まき、夏まきの作期で得られたものである。
  2. 養液土耕は窒素放出の少ない土壌で行うのが望ましい。播種前土壌の硝酸態窒素が5mg/100g以上となった時は、8g/m2の窒素施用量は土壌診断(北海道施肥ガイド2002)に基づいて減肥する。
[具体的データ] [その他]
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