エライザ法による生麦のデオキシニバレノール分析技術
[要約]
小麦専用ホモジナイザーを用いた粉砕・抽出法により、生麦からデオキシニバレノ ールの抽出ができ、慣行法と同様にエライザ分析に供試できる。生麦・乾麦のいずれも1 点当たり6分で抽出でき、エライザ分析まで含めると1時間で7点の分析が可能である。
[キーワード]
[担当]中央農試・農産工学・農産品質科、クリーン農業部・病虫科
[連絡先]0123-89-2585
[区分]北海道農業・流通利用
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
小麦のデオキシニバレノール(DON)の簡易検査法としてエライザ法が普及しているが、本検査では乾麦を粉砕した試料を用いることが前提になっている。そこで、ドライケミストリ−法による小麦α−アミラ−ゼ活性の簡易迅速測定システム(平成14年度研究参考)において用いている生麦からの粉砕・抽出法(生麦抽出法)が、エライザ法によるDON分析の前処理法として適応可能かどうかについて検討する。
[成果の活用面・留意点]
- 赤かび粒の混入が少ない試料でもDON濃度が高いものも認められることから、生麦のDON濃度を赤かび粒率から推算することは困難である。(図1)。
- 生麦のDON分析における粉砕・抽出条件は、α-アミラーゼ活性簡易迅速測定システムにおける前処理条件と同様に、ジェネレ−タ−(マイクロテック・ニチオン社製)の回転数;8000rpm、粉砕・抽出時間;120秒、抽出後の遠心分離時間;60秒、固液比1:6で行う。抽出液は、DON分析の慣行法のイオン交換水、またはα-アミラーゼ抽出液(0.075%NaCl+0.003%CaCl2)を使用する(表1,図3)。
- 対象とする小麦子実については、生麦および乾麦のいずれについても本粉砕・抽出条件がそのまま適用可能である。慣行法および生麦抽出法によるDON分析値の関係については、両者の間に高い正の相関関係(r=0.977**)が認められる(図2)。
- 生麦のDON分析に必要な機材としては、エライザ分析に関わる機材を除くと、小麦専用ホモジナイザーおよび卓上小型遠心機を備えることで対応が可能で、1点当たりの抽出時間は6分、エライザ分析(ベラトクスボミトキシンDON5/5)まで含めると1時間で7点(2反復)のDON濃度の分析が可能である(表2)。
[成果の活用面・留意点]
- 農業生産現場において、生麦、一次乾燥後の半乾麦および乾麦を対象とした小麦収穫物のエライザ法によるDON分析に活用する。
- α-アミラ−ゼ活性簡易迅速測定システムが導入されている農業現場等においては、一度の抽出でα-アミラ−ゼ活性とDON濃度の両方の分析に供することができる。
- 生麦のDON濃度を分析する場合には、水分補正により乾麦(水分12.5%)に換算する。
- 小麦専用ホモジナイザーについては、平成14年度研究参考を参照する。
平成16年度北海道農業試験会議における課題名および区分
課題名:エライザ法による生麦のデオキシニバレノール分析技術(普及推進)
[具体的データ]
[その他]研究課題名:生麦を用いたエライザ法によるDON分析のための前処理技術の確立
予算区分:受託
研究期間:2003〜2004年度
研究担当者:加藤 淳、角野晶大
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