基盤整備した汎用田の透排水性と先端的技術導入による多収栽培の実証


[要約] [キーワード] [担当]中央農試・技術普及部・技術体系化チーム
[連絡先]電話0123-89-2001
[区分]北海道農業・総合研究
[分類]技術・参考



[背景・ねらい] [成果の内容・特徴]
  1. 区画整理に伴う大区画化、明暗渠の整備を実施した実証圃場では、暗渠排水の機能は高く維持される。透水性や通気性に関与する土壌物理性が施工直後に一時的に低下した場合でも経年的に回復する。この傾向は特に畑地転換の継続で顕著であるが、水稲作の継続は回復を遅らせる。(表1
  2. プラソイラの施工や、既存のサブソイラを用いて0.8m間隔に施工した細密心土破砕は、圃場の透排水性をより高める上で効果的である。また、透排水性の面から大豆の収量性が不安定な場合に効果が期待される。
  3. 転換畑において先進的技術を活用して栽培した結果、収量は地区平均を大きく上回り、設定した実証目標を越えた場合が多い。(表2
  4. 転換畑における具体的な先進技術として、@秋まき小麦の大豆間作栽培、A秋まき小麦間作栽培における秋施肥、B春まき小麦の初冬まき、C春まき小麦の初冬まき栽培における止葉期追肥、D主茎型大豆品種の狭畦密植栽培、E転換初期畑の大豆追肥栽培、F営農的排水対策(プラソイラ施工や細密心破)が有効であると考えられる。(表2
  5. 転換畑における雑草、病害虫については特に問題となる点は認められないが、雑草抑制など期待される優点も大きくはない。
  6. 本事業で実証した基盤整備と改善技術による高水準の収量性(表2の実証収量の作物別平均値)を実現することにより、秋まき小麦で37.7千円/10a、大豆で29.2千円/10aの所得が期待でき、20ha規模、転作率60%の場合、畑作部門で350万円以上の所得が見込まれるとともに、基盤整備への投資負担能力は、回収期間20年、利子率2%とすると、畑作部門のみでは223〜282千円/10aが、水稲部門を含めた経営全体では89〜125千円/10aと見込まれる。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本事業を実施した圃場は空知南西部における水田土壌であり、本成績は道央の水田地帯に適応する。
  2. コムギ縞萎縮病発生圃場では、水田復元後、畑地に再転換した場合に発生が拡大する恐れがある。
  3. [具体的データ] [その他]
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