上川中部地域における大豆、ソバのための作業受託事業体の育成


[要約] [キーワード] [担当]北海道農研・総合研究部・経営管理研究室
[連絡先]電話011-857-9310
[区分]北海道農業・総合研究
[分類]行政・参考



[背景・ねらい] [成果の内容・特徴]
  1. 作業委託ニーズ等に関するアンケート調査によると、上川中部地域ではコントラクターの「新たな設立が必要」とする市町村が多く(表1、71%)、事業エリアも「市町村全域」(75%)が多い。他方、2000年農業センサスによれば、集落単位の組織活動は道央地域の中でも弱体化している。
  2. 上川中部地域のT町では、水稲と野菜を基幹部門とする大規模経営が多く、町の野菜生産での10ha以上農家の面積シェアも高い(表2)。同時に大規模経営ほど大豆、ソバ作付割合が増え「水稲+野菜+大豆またはソバ」割合が高まる。両作物は、単収も低く(平成12〜16年平均各214kg、72kg)、経営の副次的部門にとどまるが、転作割当て面積消化のため大規模経営に不可欠とされ、低コスト化(主に大豆、ソバの収穫で)及び水稲、野菜作との作業競合回避(主に大豆播種で)のために作業委託農家が多い。年間減価償却費と作業委託料を比較すると、大豆収穫で9.4ha、ソバ収穫で13.3haまでは作業委託の方が年間償却費を下回ると試算される(表2注)。
  3. T町の大豆、ソバの代表的な作業受託組織は2社あり(表3)、16年産の大豆播種・収穫面積の99%を行う等、町全域を対象に大豆、ソバの播種・収穫作業の大半を受託している。A社は無人ヘリを所有し水稲防除作業を受託する等収入確保に努め、受託収入は年間760万円、またB社の受託収入は1,950万円と多額である。両社とも作業受託は重要な事業部門であり、半ば専門的な作業受託事業体である。
  4. このように市町村域レベルで受託を行う事業体が活動する要因には、農家の高齢化・離農により集落単位の組織活動が弱体化し、大豆やソバの作付振興に際し農協が新たに受託組織を育成せざるを得ないこと、さらに少数組織への農機や施設の集中化・台数抑制により低コスト化が期待されるためである。農協も各種の補助事業による農機導入(表3)等により事業体として育成してきた(図1)。
  5. 以上を踏まえると、水稲と野菜の定着が進むとともに集落単位の生産組織活動が弱体化した上川中部地域において、大豆、ソバの振興を図るには、市町村全域を対象に播種・収穫作業を行う作業受託事業体の育成が重要といえる。
[成果の活用面・留意点]
  1. 水稲と野菜の定着が進むとともに、集落単位の生産組織の活動が弱体化した上川中部地域の水田地帯で大豆、ソバの振興を図るための方策として活用できる。
[具体的データ] [その他]
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