道東畑作地帯における畑作農家の規模階層別構成の動向予測
[要約]
道東畑作地帯における畑作農家の規模階層構成の2010年の動向として、規模の増減分岐点、モードが上位階層へシフトしながらの規模拡大が見込まれる。特に、十勝の中央周辺地域では50〜60ha層の増加が特徴的であり、北見市周辺地域では平均規模が44%増加することが予測される。
[キーワード]
[担当]北海道農研・総合研究部・動向解析研究室
[連絡先]電話011-857-9308
[区分]北海道農業・総合研究
[分類]行政・参考
[背景・ねらい]
十勝、網走支庁の道東畑作地帯では離農増加の下で、規模拡大の動きも加速している。そこで、農業センサス個票から畜産農家等を除外して畑作農家(畜産物販売割合20%未満層)を抽出し、これらの規模階層別構成を明らかにする。同時に、2010年までの規模階層別構成の動向をマルコフ推移確率行列モデルを用いて予測する。
[成果の内容・特徴]
- 十勝、網走支庁における規模階層別構成の動向と2010年の予測(図1、表1)
2010年にはモードは両支庁ともに上位階層へシフトする。十勝では規模の増減分岐点が30haから35haへ上昇しつつ、30〜35ha層をモードとする規模階層構成の形成が見込まれる。同時に、1戸当たり平均規模は25haから32haへと拡大する。網走では分厚い5ha未満層の大幅減少が進む中で規模の増減分岐点は25haから30haに上昇し、25〜30haをモードとする階層構成の形成が見込まれる。1戸当たり平均規模は18haから25haへと拡大する。
- 十勝支庁の代表的地域における規模階層別構成の動向と2010年の予測(図2、表1)
1)中央地域(帯広、音更、士幌、芽室)は現状の平均規模が25haと、十勝支庁平均と同じである。その後は規模の増減分岐点が30haから30〜35haへ上昇し、大規模階層の農家数が増加するものの、厚いモード層(30〜35ha)を中心とした階層構成の維持が見込まれる。平均規模も30haへの拡大となって、モード層と同じである。
2)中央周辺地域(鹿追、清水、中札内、更別)は現状の平均規模が33haと大規模である。その後は規模の増減分岐点が30haから40haへ上昇し、50〜60ha層が増加(3.5倍増)する。全体として、モード層の薄いフラットな規模階層構成の維持が見込まれる。同時に、平均規模は39haへと拡大する。
- 網走支庁の代表的地域における規模階層別構成の動向と2010年の予測(図3,表1)
1)北見市周辺地域(北見、端野、訓子府、置戸、留辺蘂、佐呂間、常呂)は10ha未満層の厚い構成にあり、平均規模も14haと小さい。その後、規模の増減分岐点が20〜25haから25haへと上昇し、20ha未満層の大幅減少の一方で大規模階層の増加が見込まれる。これにより平均規模も20haへと増加(44%)する。
2)網走市周辺地域(網走、斜里、清里、小清水)は平均規模が27haと、網走支庁平均より大規模である。その後、規模の増減分岐点は30haから30〜35haへ上昇し、大規模階層の農家数が増加するものの、厚いモード階層を中心とする階層構成の維持が見込まれる。同時に、平均規模は32haへと拡大する。これらの予測は十勝の中央地域の動向への接近を示している。
[成果の活用面・留意点]
- 畑作農家の規模階層構成に関しては市町村別に、動向予測は十勝支庁を6地域、網走支庁は5地域に区分して提供できる。
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:大規模畑作地帯における規模別畑作農家数の動向予測
予算区分:交付金
研究期間:2004〜2005年度
研究担当者:藤田直聡、細山隆夫、吉川好文
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