マルチ栽培に対応した大苗用のトラクタ牽引型半自動野菜移植機


[要約] [キーワード] [担当]北海道農研・総合研究部・農業機械研究室
[連絡先]電話011-857-9265
[区分]北海道農業・総合研究、共通基盤・作業技術
[分類]技術・参考



[背景・ねらい] [成果の内容・特徴]
  1. 開発機はトラクタ牽引型で、全長2410mm(トラクタを除く)、全幅1340mm、全高1000mmの接地輪駆動方式である。半自動式でトラクタ運転者と作業機後方の人力で苗を移植する作業者の2名で作業を行う(図1)。
  2. 2つの円筒を装着したリンクを回転させて円筒を土中に押し込み開孔する。開孔動作により円筒内に保持された土壌はマルチフィルム上に排出される。円筒はかさ歯車により常に下向きとなるようリンクの回転方向と逆に回転する(図2)。マルチフィルム上の土壌は人力もしくは培土板による培土に利用する。
  3. 駆動部は楕円2葉歯車(離心率0.3、速度比1.5)を駆動に用いることによって、円筒部分の対地速度をほぼ0にして引きづりの少ない開孔が可能である(図1)。計算の結果、直径100mmの円筒を用いて開孔する場合で、地面に対する円筒の後方への移動は5mm程度に抑えられる。
  4. 開孔部の円筒は先端にマルチの切断歯(歯幅20mm、歯高さ15mm)を持つ。円筒は下部が120mm上部が100mmの逆テーパ型であり、開孔時に円筒内の土壌が圧縮され安定的に円筒内に保持される(図2)。リンクが回転して円筒が圃場から引き上げられた時点でリンク側に取り付けられたベアリングが円筒側の支点反対に取り付けたベアリングを押すことによって円筒を左右に開き、円筒内の土壌を放出する(図3)。
  5. 外径120mm深さ100mmの有機質(堆肥)ポット育苗トマト苗33個を供試し、開発機と慣行のホーラを利用した移植作業時間を土寄せ作業のある・なしでそれぞれ比較した。その結果、土寄せを行わない場合は、1ポット当たり平均4.3秒、土寄せを行う場合には、7.0秒で慣行の人力作業のそれぞれ54%と53%の作業時間である(表1)。作業時の駆動輪スリップ率4.7%、株間は平均691mm(最大710mm、最小650mm)、開孔径は平均138mm(最大155mm、最小130mm)、開孔深さ平均91mm、円筒内の土壌の株間への放出成功率は90.3%である。
[成果の活用面・留意点]
  1. 土壌水分25%以下では、円筒内に土壌が保持されない場合がある。高水分土壌で円筒内に土壌付着おそれがある場合には、円筒側にベアリングを追加し、複数回の円筒開閉動作により、排土をより確実にできる。
  2. 株間はカボチャ移植にて一般的な700mmで固定である。
[具体的データ] [その他]
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