製粉性およびめん色に優れる秋まき小麦新品種候補系統「北見81号」
[要約]
秋まき小麦「北見81号」はやや早生で、「ホクシン」と比較して製粉性、めん色が優れ、多収である。穂発芽性、赤かび病抵抗性、赤さび病抵抗性、コムギ縞萎縮病抵抗性が「ホクシン」より優れる。
[キーワード]
[担当]北見農試・作物研究部・小麦科
[連絡先]電話0157-47-2146
[区分]北海道農業・作物
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
北海道は国内で最も大きな小麦の産地であり、収穫量では62%を占めている(平成17年産)。小麦の流通は平成12年から民間流通に移行し、さらに平成17年から麦作経営安定資金および契約生産奨励金は、灰分含有率、蛋白含有率、容積重、フォーリングナンバーの4項目の分析値による新ランク区分が導入された。
これらのことから生産者、実需者ともに、より一層の品質の向上と生産の安定性を求めており、このような要望に対応する新品種の普及が必要となっている。
[成果の内容・特徴]
- 「北見81号」は、平成6年度(平成7年6月 以下播種年度をもって示す)に北海道立北見農業試験場(農林水産省小麦育種指定試験地)において、やや早生・耐雪性“やや強”・穂発芽性“やや難”・良粉色の「北見72号」(後の「きたもえ」)を母、強稈・多収・穂発芽性“やや難”の「北系1660」を父として人工交配を行い、以降、選抜・固定を図ってきたものである。
- 「ホクシン」より出穂期で1日、成熟期で2日遅いやや早生である。
- 稈長、穂長は「ホクシン」と同程度で、穂数は「ホクシン」よりやや多い。
- 穂発芽性は“やや難”で「ホクシン」より優れる。
- 耐雪性、うどんこ病抵抗性は“やや強”で「ホクシン」と同程度である。赤かび病抵抗性は“中”、赤さび病抵抗性は“やや強”で「ホクシン」より優れる。
- コムギ縞萎縮病抵抗性は“やや弱”であるが「ホクシン」より優れる。
- 子実重は「ホクシン」より多い。千粒重、容積重は「ホクシン」と同程度である。
- 原粒灰分が低く、製粉性は「ホクシン」より優れる。原粒蛋白は「ホクシン」より0.8%程度低い。
- めん色は「ホクシン」より優れ、粘弾性は「ホクシン」と同程度であり、製めん適性は「ホクシン」より優れる。
[成果の活用面・留意点]
- 北海道の秋まき小麦栽培地帯に適応する。
- コムギ縞萎縮病抵抗性は“やや弱”であるため、多発圃場での栽培を避ける。
平成17年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「小麦新品種候補 「北見81号」」(普及奨励)
[具体的データ]
[その他]
寒地向け秋播、高品質めん用安定多収品種の育成
予算区分:指定試験、道費、受託
研究期間:1994〜2004年度
研究担当者:吉村康弘、中道浩司、小林聡、西村努、池永充伸、佐藤奈奈、荒木和哉、天野洋一、柳沢朗、田引正、谷藤健、三上浩輝
目次へ戻る