高イソフラボンのだいず新品種候補「十育241号」
[要約]
「トヨコマチ」並の熟期の白目中粒である。イソフラボン含量が「トヨコマチ」より1.5倍程度高い。低温抵抗性が強い。臍および臍周辺着色抵抗性が強く外観品質に優れる。遊離型全糖含量がやや低く、こく、甘みが劣る傾向にある。加工適性は豆乳、味噌、煮豆、納豆に適する。
[キーワード]
ダイズ、イソフラボン、低温抵抗性、低温着色抵抗性、豆乳、味噌
[担当]北海道立十勝農業試験場・作物研究部・大豆科
[連絡先]電話0155-62-2431
[区分]作物・夏畑作物、北海道農業・作物
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
健康志向の高まりのなかで、大豆の機能性成分のひとつであるイソフラボンが注目されており、豆乳などの加工食品分野で大豆の消費が伸びている。
道産大豆の高付加価値化のため、高イソフラボン大豆品種の育成を図る。
[成果の内容・特徴]
- 平成5年、十勝農試で「十系793号」を母、「十系817号」を父として人工交配を行い、それ以降、選抜、固定を進めて育成した系統であり、平成17年の世代はF13である。
- イソフラボン含量が「トヨコマチ」の1.5倍程度高い(表2)。
- 低温抵抗性が「トヨホマレ」並の強であり、収量は「トヨコマチ」並である(表1)。
- 臍着色抵抗性が中、臍周辺着色抵抗性が強で外観品質に優れる(表1)。
- 豆乳、味噌、煮豆および納豆に適する(表1)。
- 遊離型全糖含量がやや低い(表1)。
[成果の活用面・留意点]
- 「十育241号」を地帯区分T、U、V、Wのうち作付け希望のある地域に普及する。
- 主茎長が長く倒伏することがあり、密植しても増収効果が低いため、標準密度で栽培する。
- 「トヨコマチ」より裂莢しやすく収穫適期が短いため、茎水分低下後は速やかに収穫する。
- 葉色が「トヨコマチ」より淡いが、品種の特性であるため慣行の肥培管理で良い。
- ダイズわい化病抵抗性は“弱”なので、適切な防除に努める。
- ダイズシストセンチュウ・レース1発生圃場への作付けは避ける。
平成17年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「だいず新品種候補「十育241号」」(普及推進事項)
[具体的データ]
[その他]
大豆新品種育成試験
予算区分:指定試験
研究期間:2005年度(1993〜2005年)
研究担当者:白井滋久、湯本節三、松川勲、田中義則、萩原誠司、黒崎英樹、山崎敬之、鈴木千賀、大西志全、角田征仁
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