ケルセチンを高含有するタマネギ新品種候補「月交22号」
[要約]
タマネギ「月交22号」は、国内の既存品種よりもケルセチンを平均で25%多く含む春まき栽培に適した高貯蔵性赤タマネギF1品種である。
[キーワード]
[担当]北海道農研・作物開発部・野菜育種研究室、(株)日本農林社
[連絡先]電話011-857-9306
[区分]北海道農業・作物、野菜茶業・野菜育種
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
タマネギは、抗酸化性や抗変異原性などの機能が明らかにされているフラボノイドの一種であるケルセチンを特異的に多く含み、体内に摂取されるフラボノイドの重要な供給源であることが報告されている。さらに、タマネギの摂取は生活習慣病の予防に有効であることが示されるなど、タマネギの持つ健康に対する効果について注目が集まっている。他方、急増する安価な輸入品に対抗するため、既存の品種よりも高付加価値な品種が生産者からは要望されている。このような背景から、ケルセチンを高含有するタマネギ品種を育成する。
[成果の内容・特徴]
- 「月交22号」は、高貯蔵性でケルセチン含量の高い「NOR1-A」を種子親に、球の外観に優れケルセチン含量が高い「SRG-12」を花粉親にして育成された赤タマネギF1雑種である。
- 新鮮重あたりのケルセチン含有量は、国内の既存品種に比べ平均で25%多い(図1、表2)。
- 1球重が小さいため規格内収量は「スーパー北もみじ」より少ないが、貯蔵性は高く、収穫後から翌春まで出荷できる(表1)。
- ピルビン酸の生成量は「スーパー北もみじ」より低く、辛みが少ない。Brixは「スーパー北もみじ」よりも高い(表2)。
[成果の活用面・留意点]
- 栽培地域や気象条件によっては長球が多発することに留意する。
平成17年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「たまねぎ新品種候補「月交22号」」(普及推進)
[具体的データ]
[その他]
高機能性タマネギ品種の育成
予算区分:ブラニチ6系
研究期間:1996〜2005年度
研究担当者:室崇人、野口裕司、森下昌三、伊藤喜三男、杉山慶太、近藤友宏(日本農林社)、
榑沼安壽彦(日本農林社)、大野幸広(日本農林社)
目次へ戻る