うどんこ病に強いメロン緑肉新品種「空知交14号」
[要約]
「空知交14号」はメロンにおける主要病害であるうどんこ病に耐病性を有しているため栽培管理が容易である。また、ネット形質が優れ、香りや肉質も良好である。そのため「空知交14号」は北海道の緑肉メロン産地への普及が期待できる。
[キーワード]
[担当]花野技セ・研究部・野菜科
[連絡先]電話0125-28-2800
[区分]北海道農業・作物
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
近年、消費者は安全・安心な食材を求める傾向が強い。道内メロン産地でも極力農薬の散布回数を減らす試みがなされているが、主要緑肉品種「G08」はうどんこ病に対して耐病性を有しておらず、生産者は対応に苦慮している。そのため、うどんこ病耐病性を有し、果実品質が優れる緑肉メロンの育成に取組んだ。
[成果の内容・特徴]
- 「空知交14号」は花・野菜技術センター育成の緑肉固定系統「HM-G52」(「ルピアレッド」×「T4137」(「天恵」(F1品種)×「63L-3」(原子力環境センター育成固定系統)の自殖後代系統))を種子親とし、株式会社大学農園より遺伝資源として導入した固定系統「Dkg」を花粉親として育成された単交配一代雑種(F1)である。
- 草勢および着果性は「G08」と同等である。早晩性は晩生に属し、成熟に伴う果皮色の変化はない。
- 果形はやや長玉であるが、果径比(縦径/横径)は「G08」と同等である。果皮色は濃緑-淡緑である。ネットの密度、太さは「G08」と同等であるが、盛上りはやや優る(表1)。
- 糖度は「G08」よりやや低いが、肉質がやや優れる。また、「G08」と異なり、ウリ科特有の青臭みが少ないことから食味はやや優る傾向である(表1)。果肉色は淡緑-白緑である。
- うどんこ病に耐病性を有するため、「G08」と比較して農薬散布回数を削減した栽培法が可能である(表2、図1)。つる割病(レース0およびレース2菌)に抵抗性を有するが、つる割病(レース1,2y菌)およびえそ斑点病には抵抗性を有しない。
[成果の活用面・留意点]
- 無加温半促成栽培およびハウス抑制栽培における成績であり、トンネル早熟栽培では未検討である。
- 生育期全般にハウス内を高温管理した場合、成熟日数の短縮や果実過肥大等を原因とした低糖度果や裂果の発生が助長されるため栽培管理に注意する。特にハウス抑制栽培など、ハウス内が高温になりやすい作型での栽培は避ける。
- 果実肥大初期、特に縦肥大が旺盛な時期に高温・多灌水量の場合には果形が長くなる傾向があるため、栽培管理に注意する。
- つる割病(レース1,2y菌)およびえそ斑点病に抵抗性を有しないので、発生および発生の恐れのある圃場では、抵抗性台木を使用する等の対策を講ずる。
平成17年度農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「メロン緑肉新品種候補「空知交14号」」(普及推進)
[具体的データ]
[その他]
北海道オリジナルブランド緑肉新品種の育成
予算区分:道単
研究期間:2005〜2009年度
研究担当者:八木亮治、地子 立、平井 剛、中住晴彦、中野雅章、田中静幸
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