白色の花色で汎用性が高く、小球開花性に優れる花ユリ新品種「細育12号」
[要約]
花ユリ「細育12号」は胚珠-胚培養法を利用して育成した、花色が白色で花弁基部がやや緑の、中大輪のLAハイブリッド系品種である。球根肥大性が良好で、一年養成球の花蕾数の揃いが良い。家庭用だけでなく、業務用としての需要も期待できる。
[キーワード]
ユリ、新品種、胚珠-胚培養、LAハイブリッド、小球開花性、自家球根養成
[担当]中央農試・農産工学部・細胞育種科
[連絡先]電話0123-89-2583
[区分]北海道農業・作物
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
北海道の切花栽培において、花ユリは重要な切花品目であるが、栽培品種はオリエンタル系が主であり、ほとんどがオランダで育成された品種である。現在のユリ切花生産ではオランダ等の海外で養成された輸入球根の利用が主で、生産者自らあるいは道内で養成された球根による栽培は極めて少ない。今後の安定した花ユリ生産の維持には、差別化が図れるオリジナル品種と種苗費の低減が必要となる。そこで、胚珠-胚培養法により、球根肥大性に優れ、自家球根養成での生産が可能な切花向き品種の育成を行う。
[成果の内容・特徴]
- 花ユリ「細育12号」は、シンテッポウユリ品種「ホワイトランサー」を種子親に、アジアティック系品種「アラスカ」を花粉親として交配し、胚珠-胚培養法により得られた雑種から選抜、育成した品種である。
- 草丈は80cm程度で、切花向きの系統である。葉数はやや少ない。葉枯病の発生は見られない(表1)。
- 花序は散形花序である。花弁表面の色は開花初期には淡緑黄色でその後白色となり、基部の色はやや緑色である。花色が白色系であることから、家庭用だけでなく業務用としての需要も期待できる。極少数の斑点を有するがほとんど目立たない。花形はスカシユリ型で着生角度は斜上向き、花径は17cm程度の中大輪である(表1、写真1)。香りはない。
- りん片挿しによる子球形成数は1りん片当たり1.4個であり、増殖性に優れる(表2)。一年養成球の平均球重は30.8gで、10gを超える割合が98.2%と高いが、翌年の花蕾数は3.0とやや少ない(表3)。しかしながら、3輪の占める割合が83.7%で輪数の揃いが良く、一年養成球の多くを切花栽培に利用できる。
[成果の活用面・留意点]
- 普及対象地域は全道のユリ栽培地域とする。
- 秋植え、無加温ハウス栽培での成績であり、抑制栽培および促成栽培での調査は行っていない。
平成17年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「花ゆり新品種候補「細育12号」」(普及推進)
[具体的データ]
[その他]
道産ブランド花き品種の育成 1)花ゆりの新品種育成
予算区分:道費
研究期間:2001〜2005年度
研究担当者:玉掛秀人、樋浦里志
目次へ戻る