大豆遺伝資源の子実成分評価と主要作物遺伝資源の特性情報
[要約]
大豆の子実成分の測定から豆腐用等に有望な遺伝資源が33点ある。これらは品質育種の母材選定に活用できる。また、水稲、麦類、豆類の遺伝資源4,646点について特性調査を実施して有望な遺伝資源を抽出した。これらは育種素材選定等に利用できる。
[キーワード]
遺伝資源、ダイズ、アズキ、イネ、コムギ、オオムギ、ライコムギ
[担当]北海道立植物遺伝資源センター・研究部・資源利用科、資源貯蔵科
[連絡先]電話0125-23-3195
[区分]北海道農業・作物
[分類]科学・参考
[背景・ねらい]
北海道が保有する遺伝資源のうち、大豆について豆腐用等関連特性を調査し、育種素材を選定する。また、水稲、麦類、豆類の未調査遺伝資源について一次評価項目を調査し、育種素材等への利活用に資する。
[成果の内容・特徴]
- 大豆遺伝資源3,957点の中に、豆腐用の育種素材として有望なものが17点ある。それらは、「トヨムスメ」に比べ1)粗蛋白と遊離型全糖の含有率がともに高い、2)粗蛋白含有率がおよそ2ポイント以上高く遊離型全糖含有率が並、3)粗蛋白含有率が並で遊離型全糖含有率がおよそ1ポイント以上高いのいずれかで(抜粋:図1)、加えて種皮色が黄白から黄で百粒重が25g以上のものである。
- 上記の遺伝資源のうち「トヨムスメ」に比べ遊離型全糖含有率が高いもの中から、粒大と種皮色に着目し、煮豆用7点・納豆用9点を有望なものとして選定する。
- 水稲遺伝資源1,042点の中に、穂長、穂数、精籾千粒重の3形質のいずれかが「きらら397」に優り、残りの形質も同等以上のものが21点ある。この中に、成熟期、脱粒性、止葉直立程度も加味して注目すべきものが4点ある。
- 麦類遺伝資源1,308点のうち、秋まき小麦では「タクネコムギ」より成熟期が早いものが16点、「ホクシン」より千粒重が5g以上重いものが250点ある(図2)。春まき小麦では「ハルユタカ」より千粒重が5g以上重いものが27点ある。二条大麦では「りょうふう」より千粒重が5g以上重い資源は3点ある。大麦(六条)では、春まき皮麦で3点が二条大麦「りょうふう」に匹敵する粒大を示す。ライ小麦では各形質に変異がみられるが、もっとも早熟のものでも秋まき小麦の「ホクシン」や春まき小麦の「ハルユタカ」より晩い。
- 大豆では630点の中に、成熟期が「トヨムスメ」並で粒大が大きいもの、「トヨムスメ」より成熟が早く粒大が同程度のもの、「ユウヅル」より成熟が早く粒大が同程度以上のものが計20点ある。
- 小豆では滝川において927点のうち448点(約48%)が成熟期に達することが確認できた。そのうちの397点を含め、滝川において740点の特性調査で成熟期が「エリモショウズ」並で百粒重が重い遺伝資源が8点みられる(抜粋:図3)。また滝川での成熟未達資源164点を含む晩生材料555点の暖地(九州特産種苗センター:熊本県)における特性調査で「アカネダイナゴン」に比べ早熟で同程度の粒大、または同程度の熟期で大粒のものが計21点ある。
[成果の活用面・留意点]
- 本成績の個々の調査データは道の各作物育成場等に提供する。
- 大豆子実成分評価情報は、豆腐用等大豆品種育成の育種母材選定に活用できる。
- 一次評価項目情報は、それぞれの育種素材選定等に利用できる。
平成17年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「大豆遺伝資源の子実成分評価と主要作物遺伝資源の特性情報」(研究参考)
[具体的データ]
[その他]
大豆遺伝資源の子実成分評価と主要作物遺伝資源の特性調査
予算区分:道費
研究期間:2002〜2005年度
研究担当者:越智弘明、千藤茂行、南忠、手塚光明、千田圭一、原田竜一、本間昭
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