シネンシス系デルフィニウムの秋切り栽培における電照技術
[要約]
抽台期から抽台揃い期に長日処理を開始することで切り花長が伸び品質が向上する。電照は、50〜100Lxの照度で、自然日長と連続した明期を18〜20時間確保するように点灯させる。
[キーワード]
[担当]道立 花・野菜技セ・研究部・花き科
[連絡先]電話0125-28-2800
[区分]北海道農業・作物
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
冷涼な気候の北海道であっても7月に定植し、9月から採花期をむかえる秋切り栽培のシネンシス系デルフィニウムには、切り花長が短くなり、切花品質の低下が多くみられる。そこで、シネンシス系デルフィニウムの秋切り栽培において、切花品質を向上させる電照技術を確立する。
[成果の内容・特徴]
- 抽台期からの長日条件には主茎長および分枝長を伸ばす効果があり、その結果として切り花長が長くなる。暗期中断には効果が無い。18時間までは、明期の増加とともに切り花長は順調に増加するが、18時間以上では増加は緩やかとなり、20時間以上ではほぼ一定である(図1)。
- 抽台期と定植後からの長日処理では、切り花長は同程度である。抽台期2週間後から処理を開始しても効果がある
- 電照直下から3mまでは十分な長日処理効果がみられ、3m区における照度から、長日処理には50lx以上が必要である。また、100lx以上は必要ではない(図2)。
- 電照点灯時期を夕方から行う夕方延長と深夜から行う朝方延長において比較すると、いずれの処理区でも無電照区対比で16〜17%切り花長が長くなり、電照点灯時間帯の違いによる影響はみられない(表1)。
- 以上より、切り花長を伸ばし切り花品質を向上させる電照技術を次のように策定する。
(1)夕方あるいは朝方に自然日長と連続した18〜20時間の明期を確保する。
(2)処理は、抽台期から抽台揃い期までに開始する。
(3)電照の明るさは50〜100lx。
- a当たりの電照装置および電気料を試算すると、電球をハウス内1列で10m2当たり75W白熱灯1個の割合では、導入経費は20,000円、電球をハウス内に2列で6m2当たり60W白熱灯1個の割合では、26,910円となる。それぞれの電気料は、1日5時間、40日間点灯で前者が3,278円、後者が4,461円となる(表2)。
[成果の活用面・留意点]
- 7月定植、9月〜10月採花に適応する。
- 本試験の供試品種は「マリンブルー」である。
平成17年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「シネンシス系デルフィニウムの秋切り栽培における電照技術」(指導参考)
[具体的データ]
[その他]
秋切りデルフィニウム(シネンシス系)の品質向上対策
予算区分:道費
研究期間:2004〜2005年度
研究担当者:黒島 学
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