りんごわい性台木「JM台木」等の品種特性


[要約] [キーワード] [担当]中央農試・作物開発部・果樹科
[連絡先]電話0123-89-2285
[区分]北海道農業・作物
[分類]技術・参考



[背景・ねらい] [成果の内容・特徴] (表2
  1. 「さんさ」は従来から「M.26」との不親和が指摘され、樹が大きくならず、収量性が低いことが問題とされている。本試験で供試した台木はいずれも収量性で「M.26E」に勝り、観察などからも親和性が良いと見られる。ただし、「JM1」は樹勢の弱い「さんさ」にはわい化性が強すぎると思われるため、「JM2」「JM7」「JM8」が有望である。なお、これらの台木は8年生で樹幅が当初設定した栽植距離(樹間2.0m)に達していることから、M.26台の栽植距離よりもやや広く植える必要がある。
  2. 「つがる」では「JM1」「JM2」の収量性が「M26E」と同等かやや少ないため、わい化性が「M.26E」と同等で、収量性が高い「JM7」「JM8」が有望である。栽植距離はM.26台と同程度でよいと考えられる。
  3. 「ハックナイン」では「JM1」「ランセップ」「M.9」は「M.26E」よりもややわい化し、収量性は同等か上回る。「JM7」「JM8」はわい化性は「M.26E」並みで、収量性は上回る。「JM5」は樹体が極めて小さくなり、収量性は「M.26E」を大きく上回る。「JM2」は樹がやや大きく、果実糖度が低い。「セピランド」は「M.26E」よりもわい化するが、収量がやや低い。「M.27」は樹体は極めて小さくなり、収量性は「M.26E」と同程度であるが、幼木期に4樹中2樹が枯死しており、耐寒性に不安がある。以上のことから「ハックナイン」で低樹高化を目的とする場合は「JM1」「JM5」「ランセップ」「M.9」が有望である。これらの栽植距離はM.26台よりやや狭くて良いと考えられる。また、「JM7」「JM8」は「M.26E」並のわい化性であるが、収量性が勝ることから早期多収なわい化栽培用台木として有望である。栽植距離はM.26台と同程度でよいと考えられる。
[成果の活用面・留意点]
  1. 台木選定の際の資料として活用できる。
  2. 「JM1」「JM5」「JM7」は高接ぎ病の原因となるACLSVに抵抗性ではないので、接ぎ木の際には無毒の母樹から穂木を採取する。
  3. 「リンゴわい性台木の利用試験」(昭和55年度 中央農試)で「M.9」の凍害多発が指摘されていることから、凍害を受けやすい地域でのM.9系台木、「M.9」「ランセップ」「セピランド」の利用は避ける。
  4. 本試験は樹齢9年生までの結果である。

    平成17年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
     「りんごわい性台木の品種特性」(指導参考)
[具体的データ] [その他]
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