北海道におけるアカクローバの花粉移動距離の推定と訪花蜂の種類


[要約] [キーワード] [担当]北海道農研・作物開発部・マメ科牧草育種研究室
[連絡先]電話011-857-9272
[区分]北海道農業・作物、畜産草地
[分類]科学・参考



[背景・ねらい] [成果の内容・特徴]
  1. アカクローバの花粉移動距離の推定は、葉斑形成(優性遺伝子)をホモにもつドナー集団に対して無葉斑(劣性ホモ)のレシピエント集団を21m、131m、262mおよび392mに配置し、訪花蜂については採種や養蜂に利用されているセイヨウミツバチを設置した場合と野生蜂のみの2種類、1週間程度の放任受粉後のレシピエント集団の後代個体の葉斑の出現による(表1)。
  2. 葉斑形成個体の出現頻度は距離の増大とともに著しく低下するが、392mの地点でも0.8%の出現がみられる。また、セイヨウミツバチの設置による違いは認められない(表1)。
  3. アカクローバ(Trifolium pratense)、シロクローバ(T. repens)およびクローバ類の属するシャジクソウ属(Trifolium 属)のなかでわが国に唯一自生するシャジクソウ(T. lupinaster)の訪花蜂の種類は道東、道央、道南の3地域の採集の結果、15種である(表2)。
  4. 15種はマルハナバチ類、ヒメハナバチ類、ハイイロヒゲナガハナバチ、コハナバチ類およびセイヨウミツバチの5グループに群別でき、種別ではニセハイイロマルハナバチは3地域、またシロクローバ、アカクローバおよびシャジクソウすべてで採集され、合計81頭、全採集数の40%を占める(表2)。
  5. 大型のマルハナバチ類はアカクローバに、セイヨウミツバチはシロクローバで多く訪花が見られ、蜂種とクローバ種の間に特異的な傾向がみられる(表2)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 今回の花粉移動距離は2005年7月下旬から8月上旬の札幌の結果であり、虫媒花の花粉移動距離は地域による訪花昆虫の種類、季節、年次の変動が大きいことに留意する。
  2. 訪花蜂の種類はクローバ類の組換え体が栽培あるいは侵入した場合に受粉に関与する昆虫の参考リストとして活用する。
  3. 個々の蜂の種類と花粉移動距離ならびに受粉効率との関係は明らかにされていない。
[具体的データ] [その他]
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