乳牛の初産分娩月齢早期化は乳生産性と繁殖性を低下させない


[要約] [キーワード] [担当]北海道農研・畜産草地部・家畜生理繁殖研究室
[連絡先]電話011-857-9268
[区分]北海道農業・畜産草地、畜産草地、共通基盤・総合研究
[分類]技術・参考



[背景・ねらい] [成果の内容・特徴]
  1. 1980年代までの育成牛では初産月齢が遅くなると、初産後の乳量も増える傾向にある。1990年代以降の育成牛では、初産月齢が24ヶ月以上では乳量に影響せず、初産後の空胎日数は、月齢が大きくなると延長する(図1)。
  2. 日本飼養標準にしたがい、放牧期間以外は基本的に個別給餌すると、12ヶ月齢までの平均日増体量は約890gで、体重は約370kgとなる。授精開始を12ヶ月に早めても、分娩前体重は600kgを超え、分娩後体重は560kg程度となり、初産時の分娩難易度は15ヶ月開始群と差はない。また、初産後の繁殖機能回復および3産までの分娩間隔も2群間に差はなく、早期化の影響はない(表1)。
  3. 授精開始を12ヶ月に早めても、3産までの産次ごとの乳量に差はない(図2)。また出生から3産搾乳終了までの、1日あたり平均乳量は12ヶ月開始群で16.6kgと、15ヶ月開始群よりも1.1kg多く、乳生産性に問題はない。
  4. 一人で操作できる、寛幅から体重を推定する器具(ヒポメーター)は、授精開始基準体重を含む300kg以上の階層では、体重推定尺と同等の精度を有し、測定に要する時間は約半分である。本器具は簡便かつ迅速に育成牛の体重を推定できる(表2)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 乳牛の初産月齢を下げる際の目安(受胎時370kg、分娩後560kg)として活用できる。
  2. 季節繁殖化に必要な、24ヶ月齢以内での初産分娩を可能とする。
  3. ヒポメーターは米国製の輸入品である。
[具体的データ] [その他]
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