小規模工房原料乳がカード特性に及ぼす影響


[要約] [キーワード] [担当]北海道立根釧農業試験場・研究部・乳質生理科
[連絡先]電話0153-72-2004
[区分]北海道農業・畜産草地
[分類]普及・参考



[背景・ねらい] [成果の内容・特徴]
  1. 農場バルク乳の乳タンパク質率は向上しているが、季節変動と農場間格差が大きい。
  2. 近赤外線透過割合を利用した凝固時間等を測定する乳凝固特性解析装置(オプティグラフ:Ysebart社)でカード凝固解析が可能で、また、同装置によるレンネット投入後凝固開始時間の2または3倍時間をカードのカッティング適期とみなし、カード凝固硬測定時期を標準化できる。すなわち、乳凝固開始時間が把握されるため、その後のカッティング適時を判断・設定することが出来る。
  3. 乳タンパク質率の上昇に伴ってカッティング適期のカード凝固硬が増加したが、3.40%を越えるとカード凝固硬の増加傾向は不明瞭となった(図1)。また、体細胞数が30万個/mlを越えるとカード凝固硬が低下した。
  4. 殺菌条件が「63℃30分」あるいは「75℃15秒」のいずれでも、カード凝固硬に差はない。しかし、殺菌温度までの昇温時間が長いほどカード凝固硬は低下する(図2)。
  5. 電気伝導度を利用して乳およびホエーの乳酸発酵状態をモニタリングできる。しかし、変化量が小さいので、測定液温を一定に調整した正確な測定が必要である(図3)。
  6. 物理的特性はチーズタイプごとの硬さ・熟度の指標となる可能性があり、工房内の製品管理の手段として利用できることが示唆された(図4)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 小規模工房における原料乳の製品管理、殺菌施設の管理・改良に利用できる。
  2. カード凝固特性評価手法は原料乳のチーズ加工特性評価のほか、スタータを含めた製造技術の開発改良に利用できる。
  3. 硬さや粘りなど物理的特性およびにおいセンサーによる香り特性の評価手法は製造・熟成技術の改良開発時におけるチーズ品質評価に利用できる。また、小規模工房内の製品管理として利用できる。

    平成17年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
    小規模工房における原料乳がカード特性に及ぼす影響 (普及・参考)
[具体的データ] [その他]
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