黄色ブドウ球菌性牛乳房炎に対する毒素およびきょう膜の免疫効果


[要約] [キーワード] [担当]北海道畜試・畜産工学部・感染予防科
[連絡先]電話0156-64-5321
[区分]北海道農業・畜産草地
[分類]科学・参考



[背景・ねらい] [成果の内容・特徴]
  1. 道内十勝地方のバルク乳から分離されたSA118株について毒素型ときょう膜型を調査したところ、病原性との関与が示唆されているエンテロトキシンC(SEC)と毒素性ショック症候群毒素(TSST-1)の遺伝子保有率は約60%、きょう膜型は5型と8型で約90%を占めている(表1)。
  2. 無毒化した変異毒素mSECおよびmTSST-1の育成牛への全身免疫によって血清中抗体価、主に免疫グロブリンG1(IgG1)が上昇する。またmSECの鼻腔内粘膜免疫でも血清中のIgG1およびIgG2抗体価が上昇する。
  3. mSECの免疫によって、血清および乳清中抗体価(主にIgG1)が上昇する(図1)。しかしmSEC免疫後のSA感染(10000CFU/分房)では、乳中体細胞数(PL検査指数)および菌数の低減効果は認められない。
  4. mSECあるいはmTSST-1の免疫血清は各毒素の毒素活性(スーパー抗原活性)を低下させる。
  5. 育成牛のきょう膜免疫によって、血清抗体価(IgG1)が上昇する。また無毒化変異毒素と混合して免疫した場合でも抗体価が上昇する。
  6. きょう膜の免疫によって血清および乳清中IgG1が上昇するが、個体差は大きい(図2)。きょう膜免疫後のSA感染(10000CFU/分房)では、乳中菌数および体細胞数の低減効果は認められない。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本成績は、SAの毒素(SEC, TSST-1)およびきょう膜を用いたワクチン開発の参考となる。残された部分は、重度のSA感染時における毒素免疫の効果および乳清中のIgG2抗体価を上昇させるきょう膜免疫法である。

    平成17年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
    「黄色ブドウ球菌性牛乳房炎に対するワクチンの免疫効果」(研究参考)
[具体的データ] [その他]
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