乳牛のストレス評価指標の作成とストレス状態の判定


[要約] [キーワード] [担当]北海道立畜産試験場・畜産工学部・代謝生理科
[連絡先]電話0156-64-5321
[区分]北海道農業・畜産草地
[分類]技術・参考



[背景・ねらい] [成果の内容・特徴]
  1. 健康な乳牛の血漿、尿および唾液コルチゾールの濃度を測定し(200〜212検体)、統計学的にコルチゾール濃度の標準値と標準偏差を算出する(表1)。
  2. 乳牛4頭に副腎皮質刺激ホルモンを投与し、実験的にストレス状態を再現すると、血漿、尿および唾液コルチゾール濃度は投与1〜2時間後に最高値を示し(図1)、白血球数は投与3時間後に最高値を示す。
  3. 約6時間トラック輸送した乳牛4頭および手術のために診療所へ輸送した第四胃変位牛31頭のコルチゾール濃度は高い値を示す(表2)。
  4. 温湿度指数(THI)が76の夏日と81〜87の真夏日に、搾乳待機室で乳牛4頭を約2.5時間拘束すると、真夏日のみコルチゾール濃度が高くなる傾向を示し(表2)、直腸温・皮膚温は上昇(約1℃)、呼吸数の増加(約10回/分)、乾物摂取量および乳量の低下(各 々8.9%、7.4%)が認められる。
  5. 搾乳待機室でのTHIと直腸温の関係を11農場で調査すると、これらには正の二次相関がある(図2)。また、THI82〜83の場合、待機室に設置した送風機および細霧システムは、乳牛の皮膚温を1〜3℃低下させる効果を示す。
[成果の活用面・留意点]
  1. 血漿(清)・尿コルチゾールの分析は臨床検査センターに依頼できる。
  2. コルチゾール濃度は牛の興奮で上昇するので、血液は尾静脈から採取するのが望ましい。
  3. THIが80を超える暑熱時には、体温・呼吸数をストレス指標として利用できる。

    平成17年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
     「乳牛のストレス評価指標の作成と飼養管理への応用」(指導参考)
[具体的データ] [その他]
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