草地酪農地帯の草地における衛星リモートセンシングおよびGISの活用場面
[要約]
マルチスペクトルバンド衛星データを用いたリモートセンシング技術は草地の生産性、湿潤性、越冬状態等の評価が可能で、草地整備事業等に応用できる。GISは飼料作物品種の適用範囲の解析や地域支援システムの計画策定・運用等で活用できる。
[キーワード]
[担当]根釧農試・研究部・作物科、天北農試・研究部・草地環境科、牧草飼料科
[連絡先]電話0153-72-2004
[区分]北海道農業・畜産草地
[分類]行政・普及
[背景・ねらい]
中解像度(10m〜30m)のマルチスペクトルバンド(以下MS)衛星データを用いたリモートセンシング(以下RS)技術およびGIS技術が、草地において産業レベルで利用可能な場面を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- 草地の抽出は、広域の場合は国土数値情報・土地利用メッシュならびに衛星データ の画像ソフトによる教師なし分類により、60〜80%の草地を抽出できる。地域単位では、航空写真を用いて、高い精度で圃場区画単位の抽出ができる。
- 広域の草地を対象としたリードカナリーグラス草地の抽出や、マメ科率の推定等の草種判別は、中解像度のMS衛星データからは困難である。
- NDVI(正規化植生指数)を用いて草地の収量推定が実用可能で、草地間の収量性と一筆内収量のばらつきについて評価でき、草地整備事業への応用が可能である(図1,2)。
- 中間赤外および可視赤から算出されるNDWI(正規化水指数)は草地の湿潤性を評価し、草地整備事業等の排水性効果の評価に応用できる(表1,2)。
- 早春の萌芽期に取得された衛星データによるNDVIは、チモシー被度や広域の裸地の多少を評価し、越冬状態等の評価が可能である。(表3)。
- GISは、メッシュ気候データと組み合わせた営農用気象マップとして飼料作物品種の適用範囲検討等に応用でき、また、圃場図・管理台帳(面積・距離・植生,他)等は営農計画や地域支援システムの計画・運用に活用できる。
- 以上の結果から、現状における中解像度MS衛星データを用いたRS技術およびGIS技術の広域草地管理への実利用可能場面示す(表4)。
[成果の活用面・留意点]
- 中解像度のMS衛星データを用いたRS技術は草地整備事業等に、GISは飼料作物品種の適用範囲解析、地域の作付け計画、地域支援システムの計画策定・運用・作業計画等で活用できる。
- 収量推定の際、出穂茎や節間伸長茎の多い時期のNDVI値の利用は避ける。
平成17年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
草地型酪農地帯の草地における衛星リモートセンシングおよびGISの利用技術
(行政参考)
[具体的データ]
[その他]
農産物生育の広域モニタリング手法の開発
リモートセンシング及びGISを応用した草地生産基盤評価法の開発
予算区分:道費(研究開発調整)・国費(開発局)
研究期間:2002〜2005年度
研究担当者:牧野 司、林 拓、佐藤尚親、峰崎康裕、出岡謙太郎、岡元英樹、乙部裕一、古館明洋、奥村正敏、森井泰子、堤 光昭、三浦 周、宮森康雄
発表論文等:牧野、林、佐藤 (2004) 北海道草地研究会報38:102
目次へ戻る