牧草サイレージ排汁の発生量と草地への施用


[要約] [キーワード] [担当]道立畜試・技術体系化チーム(技術普及部、畜産環境科、草地飼料科)
[連絡先]電話0156-64-5321
[区分]北海道農業・畜産草地
[分類]技術・参考



[背景・ねらい] [成果の内容・特徴]
  1. 畜試サイロにおける排汁量(n=6)は原料草の水分含量が高いほど多く、83%のときに最大162L/原料草t発生し、67%では発生しない。畜試の測定値とよく一致した既往の推定式を用いると、排汁量は水分含量75,80,85%でそれぞれ20,90,200L/原料草t程度と推定される(図1)。また、 排汁は牧草収納後早期に多量に発生し、8〜28日後までに全排汁量の50%に達する。
  2. 畜試サイロにおける排汁原液の成分は平均でpH;4.2、全窒素(TN);0.20%、リン酸(P2O5);0.13%、カリウム(K2O);0.58%、BOD;34000mg/Lであり、肥料成分や汚濁物質を多く含んでいる(表1)。 よって水系への流出がないよう適正な管理をして、草地へ施用することが望まれる。
  3. 全窒素、リン酸、カリウム濃度は電気伝導度(EC)との間に高い相関がみられ、ECによる簡易推定が可能である。TN;y=0.0159x-0.0387(R2=0.78)、リン酸;y=0.008x+0.0021(R2=0.71)、カリウム;y=0.0508x-0.1796(R2=0.85)。
  4. 1番草刈り取り後の排汁施用時に牧草再生量が多い場合、接触障害による減収や植生悪化が認められる。シロクローバは排汁施用による衰退が認められる(表2)。排汁施用によって、増収効果がみられる場合があるが、土壌中のカリウム含量は増加し、特に3t/10a以上の施用で顕著な蓄積が認められる(表2)。
  5. 1番草刈り取り後3日および1週後の施用では、乾物収量の低下はみられないが、2週後では低下傾向がみられる(表3)。
  6. 施肥標準等を勘案した暫定的な施用指針としては、サイレージ排汁の2番草への施用は原液(カリウム濃度0.6%)で1t/10a程度が上限であり1番草刈り取り後1週間以内が望ましい。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本成績はチモシー主体草地に適用する。
  2. スラリー・尿汚水の貯留槽にサイレージ排汁を混入しても良いが、有毒ガス(硫化水素)が発生する危険性があるので密閉された貯留槽・屋内貯留槽では混合しない。

    平成17年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
    「牧草サイレージ排汁の発生量と草地への施用」(指導参考)
[具体的データ] [その他]
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