切断掘削式無材暗渠「カッティングドレーン工法」による排水改良技術
[要約]
切断掘削型無材暗渠「カッティングドレーン工法」は、土壌条件により異なる形状の通水孔を構築できるため広範囲の土壌に適用でき、排水効果と施工効率の高い、低コストな排水改良技術である。
[キーワード]
[担当]中央農試・農業環境部・環境基盤科、(財)北海道農業開発公社
[連絡先]電話0123-89-2582
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
堅密な台地土や黒ボク土にも適用できる無資材での排水改良法を開発すると共に、その施工効果と施工適地や適用条件、耐久性、効果等を明らかにし、低コストな排水改善技術として確立することにより気象災害に強い農業の推進に寄与する。
[成果の内容・特徴]
- 台地土や黒ボク土にも適用でき、排水効果と耐久性に優れていることを重点に新たな無材暗渠の排水改良技術「カッティングドレーン工法」の設計開発を行った。カッティングドレーン工法には、縦溝の横に空洞を構築する基本的工法の“横穴型”と縦溝の直下に空洞を構築する補助的工法の“直下穴型”の2工法があり、部品交換だけで施工できる(図1)。
- カッティングドレーン工法は、泥炭土や低地土、台地土に対して通常暗渠に匹敵する排水機能を有している。泥炭土においては1年経過後も排水機能は高く維持されていた。また、カッティングドレーン施工圃場は、多雨期間でも土層全体のpFが高く推移し、作物生育に適した土壌水分環境が維持される(図2)。
- カッティングドレーン工法は泥炭土と低地土、台地土、黒ボク土のいずれの土壌に対しても計画どおり空洞を成型できる。泥炭土と低地土では,横穴型で施工後1年経過しても空洞に変化がない。台地土と黒ボク土では、直下穴型で空洞の縮小が見られ、横穴型小空洞タイプの使用で空洞が縮小しない(図3)。
- カッティングドレーン工法の適用条件は、径5 cm以上の埋木のない泥炭土、砂礫層や石礫が多く存在せず、深さ50〜100 cmの土層の土性が国際法砂含量65%未満に相当する農学会法土性L、CL、Cを満たす鉱質土である(表1)。
- カッティングドレーン工法の施工効率は、平均0.8 km/hと従来の排水改良に比べても速い。1時間当たりの改良面積は12m間隔で1 haとなり、大面積の排水改良を短期間で行うことが可能である。また、施工費は6〜12千円/10aで、普通暗渠より圧倒的に安い。
[成果の活用面・留意点]
- カッティングドレーン工法を導入するに当たっては、土壌条件の把握による適用性の判断を必ず行い、適用条件と施工条件を遵守すること。
- カッティングドレーン工法の施工法及びその施工機は、北海道と北海道農業開発公社により特許出願済である。
- カッティングドレーン工法の長期間の持続性については未検討である。
平成17年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名及び区分
「切断掘削式無材暗渠「カッティングドレーン工法」による排水改良技術」(普及奨励)
[具体的データ]
[その他]
堅密土壌における掘削穿孔型排水工法の開発
予算区分:共同研究
研究期間:2004〜2005年度
研究担当者:北川巌、竹内晴信、小谷晴夫
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