たい肥と各種有機質肥料を用いた露地野菜の無化学肥料栽培法
[要約]
露地野菜の無化学肥料栽培における施肥法では、カリの土壌診断に基づきたい肥の施用量を判断し、たい肥で補えない窒素・リン酸・カリを各種有機質肥料で施用する。この無化学肥料栽培法では、化学肥料栽培とほぼ同等の収量・養分吸収量が得られる。
[キーワード]
[担当]中央農試・クリ-ン農業部・土壌生態科
[連絡先]電話0123-89-2580
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
無化学肥料栽培では施肥成分の全てを有機物で代替するため、有機物の養分供給特性を把握して、野菜の養分吸収特性に対応した適切な肥培管理を行わなければ収量の安定確保は難しい。そこで、知見の少ない各種有機質肥料のリン酸肥効を明らかにするとともに、露地野菜の養分吸収特性に対応した全量有機物施肥による無化学肥料栽培法を確立する。
[成果の内容・特徴]
- 有機質肥料のリン酸肥効は、全リン酸含量に対する可溶性割合および圃場埋設時のリン酸消失率、作物のリン酸吸収量などから、脱脂米ぬか≒大豆油かす>乾燥菌体>魚かす≒なたね油かす≒発酵鶏ふん>骨粉>リン酸質グアノの順に高いと判断される(表1)。
- 有機質肥料の窒素供給の遅速は従前からの報告と同様で、窒素含量の高い肥料ほど窒素供給源として有効である。カリを含有する肥料はいずれもカリ供給源として概ね有効である(表1)。
- 各種有機物の養分供給量を、a)保証成分量、b)製品に添付された分析例、c)普通肥料の公定規格に基づく最小量、d)北海道施肥ガイドの減肥可能量等から算出し、施肥標準量の全量をたい肥および各種有機質肥料の組み合わせによって施用した無化学肥料栽培では、スイートコーン・レタスの収量および養分吸収量の両面からみて、化学肥料に近い養分供給が行われている(表2)。
- 無化学肥料栽培での収量は、マルチの利用や土壌リン酸肥沃度を高めると安定的に向上する(表2)。
- 以上の結果に基づき、露地野菜の無化学肥料栽培法を図1に示す。
[成果の活用面・留意点]
- 本成果は、有機農業や有機物を肥料として利用するクリーン農業に活用できる。
- 本成果は、有機質肥料での窒素代替適応性がやや低いスイートコーン、レタスで得られた結果である。窒素代替適応性は「露地野菜に対する有機質肥料重点の窒素施肥指針(平成14年度 研究成果情報)」を参照のこと。
- 有機質肥料の施用では、発芽障害や生育障害、虫被害が発生する恐れがあるので、施用時期に留意するとともに、施用後は速やかに土壌混和する。
平成17年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「各種有機質資材を用いた露地野菜の無化学肥料栽培法」(普及推進)
[具体的データ]
[その他]
露地野菜における各種有機物の有効利用技術
予算区分:道費
研究期間:2003〜2005年度
研究担当者:小野寺政行、中本洋
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