露地野菜における有機物重点利用栽培導入のための圃場適性評価


[要約] [キーワード] [担当]中央農試・クリ-ン農業部・土壌生態科
[連絡先]電話0123-89-2580
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]技術・普及



[背景・ねらい] [成果の内容・特徴]
  1. 有機物重点利用栽培に対する圃場適性をキャベツの収量性(実収量および化学肥料栽培との収量比)から判断すると、各土壌群の適性は腐植質・淡色黒ボク土>泥炭土≒褐色低地土≒褐色森林土>>灰色低地土≒グライ土の順に高い(表1)。なお、キャベツはその養分吸収特性からみて有機物重点利用栽培がやや難しい野菜である。
  2. 各試験地の収量と危険率5%未満で有意な相関関係が認められる土壌特性項目は、化学肥料区ではち密度・容積重・粘土含量(農学会法)・腐植含量であるが、有機窒素区ではこれらに易有効水容量・熱水抽出性窒素含量が加わる(表2)。これらのことから、有機物重点利用栽培では土壌の堅密性や保水性などの物理性と窒素肥沃度が主に収量を規制していることが示唆される。
  3. 有機物重点利用栽培に対する圃場適性を定量的に評価するために、収量を目的変数、土壌特性項目を説明変数とし、変数増減法により重回帰分析を行った結果、収量(kg/10a)=6813−95×粘土含量(%)+870×腐植含量(%)−148×ち密度(mm)の推定式(R2=0.85)が得られた。
  4. キャベツの目標収量に対する収量比に基づいて有機物重点利用栽培に対する圃場適性を5水準に区分(表3)し、土壌特性値(粘土含量、腐植含量、ち密度)から迅速に圃場適性区分するための早見表を表4に示す。
  5. 本評価法により、全道の野菜・普通畑202筆の同栽培に対する適性を区分したところ、本試験での土壌群の評価区分と概ね合致し、26%の圃場で適性がU(中)以上である。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本成果は、露地野菜全般を対象に、有機物重点利用栽培導入時の圃場選定のための判断材料および同栽培に向けた土壌改善点の情報を提供する。
  2. 有機物重点利用栽培では窒素含量が高く比較的速効的な有機質肥料の施用を基本とする。
  3. 本評価法は、未分解泥炭が多量に混入した土壌や多湿黒ボク土を除く土壌で適用する。

    平成17年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
    「露地野菜における有機物重点利用栽培導入のための圃場適性区分」(普及推進)
[具体的データ] [その他]
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